バイアグラ(ED治療薬/シルデナフィル)
バイアグラは、世界で初めて開発された内服の勃起不全(ED)治療薬です。有効成分「シルデナフィル」が陰茎の血流を高め、性的刺激に反応しやすい状態を後押しします。
即効性と確かな実績が特徴で、適切な飲み方を守ることで、挿入に十分な硬さと維持をサポートします。25年以上にわたり高い治療実績と信頼を誇り、現在も多くの方に選ばれているブランドです。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Yuu総合病院で院内薬剤師として勤務し、糖尿病病棟の担当や患者さん向けの講座開催を経験しました。その後は調剤薬局にて在宅訪問や無菌調剤にも携わり、幅広い現場での知識と実践を積んでいます。
また、食と健康のつながりを深めるため薬膳アドバイザーの資格も取得しています。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
バイアグラの概要
- 世界初の勃起不全治療内服薬として1998年に承認
- 有効成分はシルデナフィル
- 性的刺激により陰茎への血流を促進し勃起をサポート
- 服用は性交1時間前が基本で、約30〜60分で効果を発揮
- 服用後、約1時間が効果のピーク
- 効果は発現後から約4〜6時間持続
- 25mg〜50mgの用量調節が可能
バイアグラは、もともとアメリカの大手製薬会社であるファイザー社が開発および販売を行っていましたが、2021年9月に製造販売権がヴィアトリス社に移管されました。このため現在流通しているバイアグラはヴィアトリス社製のものとなり、ロゴもヴィアトリスのものが使用されています。
ヴィアトリス社は世界各国で高品質な医薬品を提供し続けており、高品質な医薬品の製造において世界的に評価されています。
| 商品名 | バイアグラ(VIAGRA) |
|---|---|
| 内容量 | 4錠入り |
| 効果・効能 | 勃起不全(ED)の改善 |
| 有効成分 | ・シルデナフィルクエン酸塩 25mg ・シルデナフィルクエン酸塩 50mg ・シルデナフィルクエン酸塩 100mg |
| 副作用 | ・頭痛、ほてり、鼻づまり、消化不良、視覚異常など ・いずれも一過性で軽度なケースが多い |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | ファイザー(Pfizer)/ ヴィアトリス(Viatris) |
バイアグラはこんな方におすすめ
- 性交時に十分な硬さが得られない、または維持が難しい方
- 初めてED治療薬を試す方
- 薬の即効性を求める方
- 実績のある先発品で効果と安全性のバランスを重視する方
バイアグラの有効成分について
バイアグラの有効成分シルデナフィルは、PDE5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素の働きを抑え、陰茎の血管を広げやすくする働きがあります。これにより陰茎の血流が増えることで、硬さが得られにくい方や維持が難しい方の勃起を助けます。
性的刺激を受けた際の勃起が得られ、維持もしやすくなります。性欲を高める薬ではなく、あくまで自然な反応をサポートする仕組みです。
バイアグラの効果・効能
- 勃起不全(ED)の改善
効果は服用後30〜60分ほどで現れ、約1時間でピークとなり、効果は4〜6時間作用が続きます。空腹時に服用すると吸収が良く、より効果を実感しやすい一方、脂肪の多い食事直後は効果の発現が遅れることがあります。
バイアグラの服用方法・使用方法
| 1回の用量 | ・100mg錠の場合:1/4~1/2錠(25~50mg分) ・50mg錠の場合:1/2~1錠(25~50mg分) ※シルデナフィルの推奨用量が25~50mgのため、1錠を1/4、または、1/2(半分)に割って服用してください ※初めて服用する方は25mgからスタート |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1日1回まで |
| 服用間隔 | 24時間以上空けること ※他のED治療薬との併用はできません |
| 服用するタイミング | 性行為の約1時間前に服用 |
使用上の注意
- 空腹時の服用が推奨され、脂肪分の多い食事直後は効果が遅れる可能性があります
- 服用は1日1回まで、前回の服用から24時間以上あけてください
- 他のED治療薬との併用はできません
- 硝酸剤・NO供与剤・リオシグアトなどとの併用は禁忌です
- 大量の飲酒は効果低下や副作用増加につながるため避けてください
- めまいや頭痛などの副作用が出ることがあります
- 視覚異常や胸痛など異常を感じた場合は直ちに受診してください
Yuuバイアグラの標準量は50mgですが、初めての方や副作用に不安がある方は25mgから服用するのがおすすめです。25mgでも十分な効果が得られるケースも多く、副作用のリスク軽減にもつながります。
用量を調整する際はピルカッターやハサミで半分または4分の1に割って服用しましょう。
効果を十分に得るには、空腹時の服用が推奨されます。
脂肪分の多い食事を摂った直後に飲むと、薬の吸収が遅れ、効果が出るまで時間がかかる可能性があります。揚げ物やステーキなど脂っこい食事の後は注意が必要です。
また、牛乳など脂肪を含む飲料も吸収を妨げるため避けましょう。服用時は水など脂肪を含まない飲み物を選ぶのが望ましいです。
バイアグラの警告・禁忌・副作用
警告
- バイアグラと硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度の血圧低下を起こすおそれがあります。
- 死亡例を含む心臓や血管に関わる重大なトラブル(心筋梗塞・狭心症の悪化、心臓の発作など)が報告されています。心血管系障害の有無を十分確認してください。
禁忌
- シルデナフィルに対し過敏症の既往歴がある方
- 硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)を服用中の方
- 心血管系障害があるなど性行為が不適当と考えられる方
- 重度の肝機能障害がある方
- 低血圧の方(血圧<90/50mmHg) または 治療による管理がなされていない高血圧の方
(安静時収縮期血圧>170mmHgまたは安静時拡張期血圧>100mmHg) - 最近6か月以内に脳梗塞・脳出血や心筋梗塞が起こった方
- 網膜色素変性症の方
(網膜色素変性症にはホスホジエステラーゼの遺伝的障害を持つ症例が少数認められます) - アミオダロン塩酸塩(経口剤)を服用中の方
- 可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤(リオシグアト)を服用中の方
副作用
- 頭痛
- 顔のほてり(潮紅)
- 鼻づまり
- 消化不良・胃の不快感
- めまい
- 動悸
- 視覚異常(青みがかった見え方・光が眩しく感じるなど)
主に血管拡張作用に伴うもので、通常は数時間以内におさまります。
重篤な副作用
- 突然の視力低下・視野異常(非動脈炎性前部虚血性視神経症など)
- 突発性難聴・耳鳴り
- 重度の低血圧・失神
- 心筋梗塞、不整脈、狭心症の悪化
- アナフィラキシー(呼吸困難・発疹など)
- 持続勃起(4時間以上続く勃起)
急激な視力・聴力の変化、胸痛、4時間以上の勃起は、直ちに受診が必要です。
Yuuバイアグラの服用で、ごくまれに4時間以上続く持続勃起症が発生することがあります。
6時間を超えて勃起が続くと陰茎組織が損傷し、勃起機能を失うリスクが高まるため、4時間以上続いた場合は速やかに医療機関を受診してください。
また、めまいや視覚障害(色の変化など)が生じることがあるため、服用後は車の運転や機械操作は控えましょう。急激な視力低下や視力喪失があれば、直ちに服用を中止し、眼科を受診してください。
バイアグラの他の薬との相互作用
併用しないこと
- 硝酸剤およびNO供与剤
(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ニコランジル、亜硝酸アミルなど)
併用すると血管拡張作用が強く出るため、急激で重度の血圧低下を引き起こすおそれがあります。
- リオシグアト(アデムパス)
血管拡張作用が相加的に強まることで、危険な低血圧を招く可能性があります。
併用に注意すること
- CYP3A4阻害薬
(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、リトナビル、コビシスタットなど)
代謝が阻害され、バイアグラの血中濃度が上昇しやすくなります。
- CYP3A4誘導薬
(リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトイン、ボセンタンなど)
バイアグラの分解が促進され、薬の効果が弱くなる可能性があります。
- 降圧薬・α遮断薬
(アムロジピン、ニフェジピン、ドキサゾシンなど)
血圧を下げる薬と併用すると、作用が重なり血圧が過度に低下する場合があります。
- プロテアーゼ阻害薬
(リトナビル、サキナビル など)
バイアグラの血中濃度が著しく上昇し、強い副作用が出るリスクがあります。
- グレープフルーツジュース
代謝酵素を阻害し、血中濃度を高めて副作用を起こしやすくします。
- アルコール(特に大量摂取)
勃起の妨げとなり、さらに低血圧やめまいを起こしやすくなります。
Yuuグレープフルーツの果肉や果汁の「フラノクマリン酸」という成分は、バイアグラの有効成分「シルデナフィル」の分解を遅らせる働きがあります。
結果として、シルデナフィルの濃度が通常よりも高くなってしまい、副作用のリスクが増加します。そのため、グレープフルーツ果肉や果実を含むジュース、アルコール飲料といった飲み物との併用は避けてください。
一方、同じ柑橘類でも、温州みかん、ゆず、ネーブルオレンジ、デコポン、バレンシアオレンジなどにはフラノクマリン酸が含まれていません。
柑橘類を選ぶ際には、フラノクマリン酸が含まれていないものにしましょう。
バイアグラの注意事項
- 精力増強や催淫効果はありません
- 服用後は、めまい・立ちくらみなどに注意し、車の運転や危険作業は控えてください
- 心臓や血管に負担がかかる可能性があるため、胸痛や動悸が出た場合は使用を中止し医療機関に相談してください
- 腎機能・肝機能に障害がある方は、医師または薬剤師に相談してから使用してください
- 市販薬・サプリメントとの併用も影響する場合があるため、併用前に確認してください
- 持続勃起(4時間以上)が起こった場合は、直ちに医療機関を受診してください
バイアグラのよくある質問
バイアグラは保険適用されていますか?
2022年4月から、バイアグラは「男性不妊治療」を目的とする場合に限り保険適用が認められています。ただし、保険適用には厳しい条件があり、誰でも自由に適用されるわけではありません。
バイアグラをEDではないが服用するとどうなりますか?
基本的に、バイアグラはEDではない方が服用しても重大な健康リスクは少ないとされています。
ただし、バイアグラはPDE5酵素を阻害して血管を拡張させる働きがあるため、勃起機能とは無関係な方でも血流が良くなるので、一時的に顔のほてりや頭痛といった副作用を感じることがあります。これらの症状は短時間で、通常軽度です。
性的刺激がなければ勃起が起こりにくく、バイアグラを服用しただけでは勃起しないため、効果は限定的です。
バイアグラと精力剤や精力増大サプリとの違いは?
バイアグラは勃起不全の治療を目的とした医療用医薬品です。一方、精力剤やサプリは主に自然由来の成分で、疲労回復や体力増強、性機能の補助を目的とし、即効性はありません。
つまり、バイアグラは症状の改善に効果的な治療薬で、精力剤は健康や活力を補うサポート食品という違いがあります。使用する目的や効果の現れ方、ご自身のニーズに合った選択が重要です。
バイアグラに関連する添付文書等の参考資料
- 医療用医薬品 : バイアグラ – KEGG
- バイアグラ錠 – JAPIC(PDF)
- クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)- J-STAGE(PDF)
- 新規勃起不全治療薬シルデナフィル(バイアグラ(R))の薬理学的特徴 ー 効性および硝酸剤との相互作用 ー – J-STAGE(PDF)
※本ページでは日本語の公的資料(JAPIC/PMDA等)や、英語の公的資料(EMA/FDA等)を記載しています。いずれも基本的に各国規制当局等が発行する一次ソースですが、国・地域ごとに適応症・警告・禁忌・推奨用量などが異なるため、内容をよく比較のうえご判断ください。
※服用前には必ず輸入品に記載されている英文の説明も確認し、不明点は医師・薬剤師にご相談ください。