アジー(クラミジア治療薬/ジスロマック ジェネリック)
多様性を推進している現代社会。さまざまな性的嗜好に触れ合って生活する中で、性感染症が増加傾向です。性感染症の中でもクラミジア感染症は、感染者数が最も多いと言われており、現時点でも増加傾向です。アジーは、そんな感染症で困っている方々にとって有効性が高い医薬品の1つです。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
KeJi薬剤師資格を有し、ドラッグストア、調剤薬局を経て産婦人科などを標榜する総合病院で勤務中。学会認定資格も活かし、医療系コラムなども執筆しています。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
アジーの概要
- ジスロマックのジェネリック医薬品
- クラミジアなどの細菌の増殖を抑え、クラミジア感染症の初期治療に使用される
- クラミジア感染に使用する場合、他の感染症と異なった用法用量である
- 先発医薬品であるジスロマックにはない1000㎎という規格があり、クラミジア感染症には1000㎎1錠を1回服用でも効果が期待できる
アジーは、世界的に有名な製薬会社Cipla(シプラ)社が製造販売しています。クラミジアの増殖を抑える有効成分であるアジスロマイシンを主成分としている抗菌薬です。
| 商品名 | アジー |
|---|---|
| 内容量 | 250㎎ 10錠入/500mg 5錠入/1000㎎ 1錠入 |
| 効果・効能 | クラミジア属における性感染症(尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症症候群) |
| 有効成分 | アジスロマイシン 250mg/500mg/1000mg |
| 副作用 | 下痢、発疹、蕁麻疹、掻痒 血液検査における肝機能異常 など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | シプラ |
アジーはこんな方におすすめ
- 直腸を介して梅毒やクラミジア、淋菌感染症の可能性がある方
- 性感染症が増加傾向にある国に渡航する予定のある方
- 同性愛者との性的接触を持つ方
- 不特定多数のパートナーと性的接触を持つ可能性がある方
アジーの有効成分について
アジーは、クラミジア属や淋菌、マイコプラズマによる性感染症(尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症症候群)に対して使用されるジスロマックと同じアジスロマイシンを主成分としたジェネリック医薬品です。有効成分が細菌の蛋白合成を阻害することで細菌増殖ができなくなり、体内での増殖活動を抑制します。
アジーの効果・効能
- 尿道炎
- 子宮頸管炎
- 骨盤内炎症症候群
- 歯周炎
- 歯冠周囲炎
- 咽頭・喉頭炎
- 副鼻腔炎
- 扁桃炎
- 細菌性肺炎
- 急性気管支炎
有効成分であるアジスロマイシンは、細菌内の70Sリボソーム内の50Sサブユニットに結合することで、細菌の蛋白合成を阻害します。蛋白合成を阻害された細菌は、それ以上の細菌増殖ができなくなる、いわば静菌状態に陥らせることでその抗菌活性を発揮します。
他のペニシリン系やセフェム系と異なり、細胞壁がない細菌であるクラミジア等にも効果を期待できるのが特徴です。性感染症であるクラミジア感染症には第一選択されています。
KeJi近年、薬剤耐性菌が多くなっており、その原因の1つとして抗生物質の正しい服用ができていないことによる可能性が指摘されています。
特にマイコプラズマジェニタリウムについては、以前まではアジスロマイシンによる効果が非常に期待できましたが、70%まで有効率が下がっていると言われています。
現時点ではクラミジア感染症ではそこまでの低下はありませんが、1000㎎1回服用を正しく服用することは、耐性菌対策としても重要です。
アジーの服用方法・使用方法
クラミジア感染症、マイコプラズマジェニタリウム感染症における服薬方法
| 1回の用量 | 1000㎎ 1錠 250㎎ 4錠 500㎎ 2錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
上記以外における服薬方法
| 1回の用量 | 1000㎎ 0.5錠 250㎎ 2錠 500㎎ 1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間ごと 3日間服用 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
KeJi1000㎎の錠剤は厚さ7.6㎜、10.2㎜×21.1㎜と500㎎の規格と比べてやや大きくなりますが、半面の中心部に割線が付いており、どうしても飲みにくい場合でも、半分に割って飲むことができます。
250㎎、500㎎規格もあることで、1000㎎がどうしても飲みにくかった方でも対応できます。
使用上の注意
- 因果関係は不明ですが、同成分において心悸亢進、間質性腎炎、肝壊死、運動亢進があらわれたと報告があるため、注意が必要です。
- 意識障害等があらわれることがありますので、自動車の運転や危険を伴う機械の操作に従事する場合、注意してください。
KeJi1000㎎を連日服用し続けると、体内に長期間薬剤が留まり続けてしまい、聴力障害を起こす危険性があります。
アジーの警告・禁忌・副作用
警告
特に設定されていません。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある方
副作用
重大な副作用は、ショックやアナフィラキシー、重篤な過敏反応、肝機能障害等が報告されていますが、頻度ははっきりとしていません。主な副作用としては好酸球数増加、ALT増加、下痢の頻度が多くなります。ただし、好酸球数やALT値は血液検査を行わないとはっきりとは分かりません。他にも腹痛や嘔吐などが報告されています。
アジーの他の薬との相互作用
併用しないこと
- ベネトクラクス(急性骨髄性白血病のお薬)
絶対に併用してはいけないとされていませんが、ベネトクラクスの効果が減弱するため、併用を避けることが望ましいという表現で記載されています。
併用に注意すること
- 制酸剤(マグネシウムやアルミニウムを含んだ胃薬
アジスロマイシンの最高血中濃度が低下する報告があると言われており、抗生物質の効果が落ちるため注意が必要です。服用間隔を2時間以上空けるようにしましょう。
- ワルファリン
PT-INRが上昇するという報告があるため、抗凝固効果が高まり、青あざや皮下出血が増える可能性があります。
- シクロスポリン
シクロスポリンの最高血中濃度が上昇する報告があるため、腎機能低下などがおこる可能性があります。
- ネルフィナビル
アジスロマイシンの1200mg㎎投与でアジスロマイシンの濃度や平均最高血中濃度の上昇する報告があります。
- ジゴキシン
ジゴキシン中毒(吐き気や嘔吐、脈が遅くなる不整脈)リスクが上昇するという報告があります。
アジーの注意事項
- 肝機能が低下している方や心疾患のある方は副作用発症リスクが高くなります。
- 他のマクロライド系抗生物質で過敏症が出ている方には同様の過敏反応が出現する可能性があるため注意が必要です。
アジーのよくある質問
アジーの飲む量は?
クラミジアやマイコプラズマジェニタリウム感染症による尿道炎や子宮頸管炎については、1回1000㎎を1回だけ服用します。それ以外の呼吸器感染症や歯科感染症では1回500㎎を1日1回服用し、3日間服用して終了となります。
アジーは何で飲めばいいですか?
コップ1杯ほどの水やぬるま湯で決められた時間に服用します。3日間服用する場合、毎日同じ時間に服用するようにしましょう。
アジーを飲み忘れた場合はどうしたらいいですか?
1日以内であれば気付いた時点で1回分服用してください。なお次回飲むときに2回分服用することは過剰投与となり、聴力障害を起こす危険性もあります。
アジーの効果はいつから出てくるでしょうか?またどのくらいまで効果がありますか?
1回だけ服用したときにおおよそ2〜3時間程度で血液中の最も効果が期待できる濃度まで上昇し、効果が出てくるようになります。クラミジア感染による場合、1回1000㎎を1回飲むと10日程度効果が持続、呼吸器感染症や歯科感染症では1回500㎎を3日間飲むと、約7日間効果が持続するため、用法用量を守ることで効果を期待できるでしょう。
クラミジア感染症に対して、どの程度の治療期間が必要でしょうか?
アジスロマイシン1000㎎を1回だけ服用した方で、尿道炎の場合では投与15日目で88.1%、投与29日目で83.6%、子宮頸管炎では投与15日目で83.0%、投与29日目で97.8%に有効であったとされています。実際の症状は服用後、数日程度で改善しますが、菌消失の確認が2〜4週間後に判定するとされており、最大1カ月程度かかる可能性もあります。
妊娠している可能性があるのですが、アジーを飲んでも良いでしょうか?
クラミジア感染症の治療には、マクロライド系であるアジーだけでなく、ニューキノロン系の抗生物質も服用することがあります。妊婦にはニューキノロン系の抗生物質は原則使用できないとされており、マクロライド系であるアジーを使用して治療行う方が良いでしょう。
マイコプラズマジェニタリウム感染によるアジーの効果はどうでしょうか?
残念ながら、アジーの使用による効果が期待できない可能性がありますので、医療機関を受診してニューキノロン系抗生物質へ変更するかを検討したほうが良さそうです。
クラミジアや淋菌感染症、マイコプラズマ感染症治療中はどのような点に注意が必要でしょうか?
治療期間中は性交渉を避けておくようにしてください。またパートナー側の感染している可能性を考慮し、性感染症における検査を受けてもらうように伝えるようにしましょう。