アイピル(緊急避妊薬:アフターピル)
アイピルは予期せぬ妊娠リスクに備えるための緊急避妊薬で、日本国内で処方されているノルレボ錠のジェネリック医薬品です。性行為後72時間以内の服用で高い避妊効果を発揮します。有効成分のレボノルゲストレルが排卵の抑制や着床阻害に作用します。副作用は一時的なものが多いですが、正しい服用法を守ることが重要です。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Yuu総合病院で院内薬剤師として勤務し、糖尿病病棟の担当や患者さん向けの講座開催を経験しました。その後は調剤薬局にて在宅訪問や無菌調剤にも携わり、幅広い現場での知識と実践を積んでいます。
また、食と健康のつながりを深めるため薬膳アドバイザーの資格も取得しています。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
アイピルの概要
- ノルレボ錠のジェネリック医薬品
- 有効成分はレボノルゲストレル1.5mg
- 性行為後72時間以内の服用で高い避妊率
- 副作用は比較的少ないが一時的な体調変化に注意
アイピルは、インドの製薬会社ピラマルファーマ(Piramal Pharma Solutions)が製造・販売しています。1回1錠の単回服用で効果を発揮し、低用量ピルのような継続的な服用は不要です。服用後2時間以内に嘔吐した場合は追加服用が必要となる場合があります。
重篤な肝障害やレボノルゲストレルに対するアレルギーのある方、妊婦は服用できません。
| 商品名 | アイピル |
|---|---|
| 内容量 | 1錠 |
| 効果・効能 | 緊急避妊 |
| 有効成分 | レボノルゲストレル 1.5mg |
| 副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血等 |
| 形状・剤形 | 錠剤(白色フィルムコーティング錠) |
| ブランド | ピラマルファーマ(Piramal Pharma Solutions) |
アイピルはこんな方におすすめ
- 避妊に失敗した、または避妊できなかった性行為後の緊急措置が必要な方
- 万が一に備えて常備薬として持っておきたい方
- 医療機関への受診が困難な状況にある方
- 産婦人科での処方費用を抑えたい方
- プライバシーに配慮して利用したい方
アイピルの有効成分について
有効成分「レボノルゲストレル」は、排卵の抑制や遅延、子宮内膜の変化による着床阻害など複数の作用で妊娠を防ぎます。性行為後できるだけ早く服用することで、妊娠阻止率が最大となります。国内外の臨床試験やガイドラインでは、性行為後24時間以内で妊娠阻止率は約95%と報告されています。
アイピルの効果・効能
- 緊急避妊(アフターピルとして、避妊に失敗した場合の妊娠阻止)
アイピルは、性行為後72時間以内に1回1錠を服用することで、排卵の遅延や抑制、受精卵の着床阻害により高い避妊効果を発揮します。服用が早いほど妊娠阻止率が高く、効果は服用後3時間程度で現れます。72時間を超えても120時間以内であれば一定の効果が期待できますが、時間経過とともに避妊率は低下します。
Yuu「アイピル」は、性行為後できるだけ早く服用することが最も重要です。
これは、妊娠が排卵・受精・着床という段階を経て成立するため、アイピルが排卵の抑制や着床阻害に最も効果を発揮できるタイミングが限られているからです。
主に排卵を抑制または遅延させたり、子宮内膜の変化によって受精卵の着床を妨げたりすることで妊娠を防ぎます。そのため、時間が経つほど避妊成功率は下がります。
アイピルの服用方法・使用方法
| 1回の用量 | 1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用するタイミング | 避妊に失敗した、または避妊を行わなかった性行為後、できるだけ早く(72時間以内)服用すること |
使用上の注意
- 2時間以内に嘔吐した場合は、もう1錠追加での服用を検討する
- 服用後は消退出血や生理の有無を確認する
- 服用後も妊娠する可能性がゼロではないため、3週間後に妊娠検査薬で確認推奨
- 妊娠中の方は服用不可
- 重篤な肝障害・腎障害のある方は医療機関に要相談
- 他の薬剤(抗てんかん薬・抗HIV薬・リファンピシン・セイヨウオトギリソウ等)との併用で効果減弱の恐れがある
- 連続服用や過剰服用は避ける
- 服用後は一時的に生理周期が乱れることがある
Yuu服用後3週間以上生理がこない場合は、妊娠検査薬で確認し、必要に応じて医療機関を受診してください。不正出血や月経異常は一時的なことが多いですが、心配な場合は受診しましょう。
先発ノルレボ錠の添付文書改訂
2022年、ノルレボ錠1.5mgの添付文書が改訂され、投与時に「内診」や「免疫学的妊娠診断」などの実施を求める記載が削除されました。これは、国内外の診療ガイドラインにおいて、妊娠していないことの確認に内診や特別な妊娠検査が必須とされていないことが根拠となっています。
また、胎児への影響に関する記載も見直され、ノルレボ錠による出生児への悪影響を示す疫学的報告はないことや、服用しても妊娠した場合の奇形・流産の発現率が非投与と差がないことが追記されました。
この改訂により、緊急避妊薬の処方がより迅速かつ現実的に行えるようになり、必要とする人が適切なタイミングで薬剤を利用しやすくなっています。
アイピルの警告・禁忌・副作用
警告
- 既に妊娠が成立している場合は効果がない
- 完全な妊娠阻止は保証されないため、服用後も妊娠する可能性がある
- 服用後に不正出血や月経異常がみられる場合は医療機関に要相談
- 服用後3週間過ぎても生理がこない場合は妊娠検査薬で検査し、必要に応じて受診する
- 服用後2時間以内に嘔吐した場合は追加服用が必要
- できるだけ早く(72時間以内)服用することが推奨される
禁忌
- レボノルゲストレルに対して過敏症の既往歴がある方
- 重篤な肝障害のある方
- 妊婦
慎重投与
- 肝障害のある方
- 腎障害や腎疾患の既往歴がある方
- 心疾患やその既往歴がある方
- 重度の消化管障害や吸収不良症候群のある方
- 授乳中の方
副作用
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- 不正出血(消退出血、不正子宮出血、月経過多、月経遅延など)
- 乳房の張り・圧痛
- 下腹部痛・腹痛
- めまい
- 眠気
- 倦怠感・疲労感
- 下痢
- 不安
重大な副作用
- 血栓症(脚の痛み・腫れ、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、視力障害など)
- 重篤なアレルギー反応(じんましん、顔面の腫れなど)
- 持続する激しい腹痛(子宮外妊娠の可能性)
Yuuアイピルの副作用は多くの場合軽度で一時的です。比較的、吐き気や頭痛、不正出血はよくみられ、ほとんどは24時間〜数日以内に改善します。
症状が強い場合や長引く場合は、我慢せず早めに医療機関を受診しましょう。
アイピルの他の薬との相互作用
併用しないこと
- 現在、添付文書上「併用禁忌薬(絶対に併用してはいけない薬)」は特に指定されていません
併用に注意すること
- 抗けいれん薬(フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、カルバマゼピンなど)
- 抗結核薬(リファンピシン、リファブチン)
- HIV治療薬(リトナビルなどのプロテアーゼ阻害剤、エファビレンツなどの非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤)
- セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品・サプリメント
- 一部の精神刺激薬(モダフィニル)
- その他、酵素誘導作用のある薬剤(ペランパネル、ラモトリギン、ルフィナミド等)
これらの薬剤や成分は、アイピル(レボノルゲストレル)の血中濃度を低下させ、効果を減弱させる可能性があります。
アイピルの注意事項
- 服用は1回1錠のみで、規定量以上を絶対に服用しない
- 性交後できるだけ早く(72時間以内)服用する
- 服用後2時間以内に嘔吐した場合は、効果が得られない可能性があるため追加服用が必要な場合がある
- 既に妊娠している場合は効果がない
- 服用後に不正出血や月経異常があっても個人差があるため、3週間以上生理がこない場合は妊娠検査を行う
- 妊婦、重篤な肝障害のある人、レボノルゲストレルに過敏症のある人は服用できない
- 服用後24時間は吐き気を誘発する可能性があるためアルコールの摂取を控えること
- 服用後は安静に過ごし、副作用が強い場合は医療機関に要相談
Yuuアイピル服用後は無理をせず、できるだけ安静にし、十分な水分補給と軽い食事を心がけましょう。
もし、服用後2時間以内に嘔吐した場合は、追加服用が必要になることがあります。判断に迷う場合は医療機関に相談しましょう。
アイピルのよくある質問
アイピルは1錠以上服用しても大丈夫ですか?
決められた量(1回1錠)より多く服用しても効果が高まることはなく、推奨されていません。
服用後に嘔吐や下痢をした場合、どうすればいいですか?
服用後2時間以内に嘔吐した場合は、成分が十分に吸収されていない可能性があるため、追加服用が必要な場合があります。下痢の場合も同様です。判断に迷う場合や症状が重い場合は医療機関に相談してください。
アイピルを飲むと不妊になることはありますか?
緊急避妊薬の服用が将来的な不妊の原因になることはありません。
服用後、次の生理はいつ来ますか?
通常は予定通りか、数日早まる・遅れることがあります。不正出血や月経異常があっても多くは一時的です。
授乳中でも服用できますか?
授乳中の方も服用できますが、服用後24時間は授乳を控えてください。
どんなときにアイピルが必要ですか?
コンドームの破損・脱落など、避妊せずに性行為をした場合、または性暴力被害にあった場合などが該当します。
服用後に注意することはありますか?
服用後は激しい運動やアルコール摂取を控えてください。大きな体調変化があれば医療機関に相談してください。