レボクイン(クラビット ジェネリック:クラミジア・淋病治療薬)
性器クラミジアや膀胱炎などの感染症が発生するたびに「毎回病院に行くのが面倒」「病院に行くのが恥ずかしい」と思われる方もいるのではないでしょうか。そんなときに選ばれているのがレボクインです。
1日1回の服用で幅広い細菌に効果を発揮し、さまざまな感染症に対して適応が認められています。服用にあたっては注意点もあるため、事前に確認のうえ購入を検討しましょう。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Nami総合病院での院内薬剤師として勤務。主に救急や外科系の患者を担当しておりました。現在はその経験を活かして、医療系記事の執筆を担当しております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
レボクインの概要
- クラビットのジェネリック医薬品
- ニューキノロン系抗菌薬のひとつ
- 細菌のDNA(デオキシリボ核酸)の複製に関わる酵素をブロックして細菌の増殖を抑える
- さまざまな細菌性疾患に対して効果が認められている
レボクインは有効成分であるレボフロキサシンが、細菌中のDNAの複製に関わる酵素に作用して細菌の増殖を抑えます。幅広い菌種に対して殺菌作用が認められており、さまざまな感染症に使用されます。
| 商品名 | レボクイン250mg/500mg |
|---|---|
| 内容量 | 各10錠 |
| 効果・効能 | 適応菌種が原因の皮膚感染症・ざ瘡(ニキビ)・扁桃炎・膀胱炎 など |
| 有効成分 | レボフロキサシン 250mg/500mg |
| 副作用 | アナフィラキシーショック・中毒性表皮壊死融解症(TEN) 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)・痙攣 急性腎障害・肝機能障害・血球減少症 など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | シプラ |
レボクインはこんな方におすすめ
- 性器クラミジアなどの性器感染症の治療薬を探している方
- 膀胱炎や副鼻腔炎(蓄膿症)などの細菌感染症にお悩みの方
- 炎症性のニキビを改善したい方
レボクインの有効成分について
レボクインの有効成分であるレボフロキサシンは日本で開発された抗菌薬で、クラビットという商品名で販売されています。抗菌薬は作用によっていくつかのタイプに分類され、レボクインはニューキノロン系抗菌薬に分類されます。
細菌細胞内のDNAの複製に関わる酵素をブロックすることで細菌の増殖を止め、最終的に死滅させるのがこの薬の特徴です。
レボクインの効果・効能
以下の菌が原因の感染症
- 適応菌種:本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、 ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
- 適応症:表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱
細菌は、自身の細胞内にあるDNAのコピーを作ることで増殖します。レボクインは、このDNAをコピーする段階の酵素(DNAジャイレースとトポイソメラーゼIV)を阻害して細菌の増殖を止め、殺菌作用をあらわします。
この作用を持つ抗菌薬はニューキノロン系に分類され、多くの細菌に効果をあらわし、幅広い細菌感染症に対して適応が認められています。
Namiレボクインは広範囲の菌に効果を表すため、さまざまな感染症に使用されます。その反面、安易にレボクインを使用したために耐性菌(抗菌薬に対して効果があらわれなくなる菌)が出てきて、適切な治療ができなくなるという問題が発生しています。
耐性菌が生じる原因は以下の通りです。
・不要な抗菌薬の漫然な使用により、体の中の細菌が抗菌薬に対して耐性を持つ
・体の中に菌が残っている状態にもかかわらず、症状が軽くなったため自己判断で服用を中断し、その結果残った菌が抗菌薬に対して耐性を持つ
耐性菌の出現を防ぐために、症状が軽快してもすぐに服用を中断しないようにしましょう。また、漫然とした長期間の服用は避けるよう注意が必要です。服用期間の目安については「使用上の注意」をご確認ください。
参考:
抗菌薬が効かない「薬剤耐性(AMR)」が拡大!一人ひとりができることは? – 政府広報オンライン|内閣府大臣官房政府広報室
レボクインの服用方法・使用方法
| 1回の用量 | 250mgは2錠、500mgは1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
Nami腎機能が低下している方は、排泄が遅れて血中濃度が高くなる傾向があります。そのため、腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスによって服用量や服用間隔の目安が設定されています。
ご自身のクレアチニンクリアランスの数値が分かる方は、下記を参考にして服用量を調節してください。
クレアチニンクリアランス20mL〜50mL/分未満の方:1日目は500mgを1回、2日目以降は250mgを1日1回服用
クレアチニンクリアランス20mL/分未満の方:1日目は500mgを1回、2日目は休薬、3日目以降は250mgを2日に1回服用
使用上の注意
- 耐性菌の出現を防ぐため、漫然と服用せず1週間程度(腸チフスやパラチフスは2週間)を目安として服用しましょう。
- 意識障害があらわれることがあります。自動車の運転や危険を伴う機械を操作する人は注意して行ってください。
- 大動脈瘤や大動脈解離を引き起こすことがあります。お腹や胸、背中に痛みがあらわれた場合、これらの病気の初期症状の可能性があるため注意しましょう。
- 光・温度・湿度によって有効成分が変質し効果が損なわれる可能性があります。高温多湿や直射日光を避けて保管し、使用期限が過ぎたものは使用しないでください。
- こどもの手の届かない場所に保管しましょう。
Namiクラビットの添付文書では、腸チフスやパラチフスのみで服用期間が設定されていますが、海外ではその他の疾患に対しても服用期間が設定されています。
疾患によって服用期間が異なりますが、おおよそ3〜10日に設定されているため服用期間の目安を1週間としています。
参考:
Levofloxacin Dosage – Drugs.com
レボクインの警告・禁忌・副作用
警告
該当なし
禁忌
- 有効成分のレボフロキサシンに対して過敏症を起こしたことがある方
- オフロキサシンに対して過敏症を起こしたことがある方
- 妊婦または妊娠している可能性がある方(炭疽など重篤な疾患以外)
- 18歳未満のこども(炭疽など重篤な疾患以外)
副作用
重大な副作用
- ショック、アナフィラキシー
- 中毒性表皮壊死融解症(TEN)
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)
- 痙攣
- QT延長、心室頻拍
- 急性腎障害、間質性腎炎
- 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
- 汎血球減少症、無顆粒球症、溶血性貧血、血小板減少
- 間質性肺炎、好酸球性肺炎
- 血便を伴う大腸炎(偽膜性大腸炎など)
- 横紋筋融解症
- 低血糖
- 腱障害(アキレス腱炎、腱断裂など)
- 精神症状(錯乱、せん妄、抑うつなど)
- 重症筋無力症の悪化
- 大動脈瘤、大動脈解離
- 末梢神経障害(しびれ)
他にも副作用として、以下が報告されています。
- 発疹
- めまい
- 不眠
- 頭痛
- 悪心嘔吐
- 下痢
- 腹部不快
レボクインの他の薬との相互作用
併用しないこと
併用してはいけない薬はありません。
併用に注意すること
- フェニル酢酸系またはプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬(フルルビプロフェン・ロキソプロフェンなど)
脳の働きを落ち着かせる物質(GABA)のはたらきが弱まるため痙攣を起こすリスクが高まるとされています。
- アルミニウムまたはマグネシウム含有の制酸薬、鉄剤(水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸鉄など)
レボクインとこれらの薬が結合すると、レボクインの吸収が低下するため効果が得られません。レボクインを服用してから1〜2時間後に服用してください。
- ワルファリン
レボクインがワルファリンの効果を強め、出血などの副作用が出やすくなるおそれがあります。
- QT延長を起こすことが知られている薬(デラマニドなど)
レボクインにもQT延長作用があるため、QT延長症状が起きる可能性が高まります。
- 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)
原因は明らかではありませんが、アキレス腱炎や腱断裂などのリスクが高まるといわれており注意が必要です。
Namiアルミニウムやマグネシウム含有の制酸薬は市販でも多く販売されています。
報告によると、これらとレボクインを服用すると吸収率が56〜78%にまで低下したという報告があります。なお、レボクイン服用後1〜2時間後であれば有効成分は吸収されているため併用しても問題ありません。
QT延長を起こす薬は、デラマニド以外にも不整脈の薬や抗生物質、向精神病薬など多数あります。QT延長で注意する点は、心臓の電気的な活動に異常が生じて致死的な不整脈を引き起こすおそれがあることです。
レボフロキサシン単体ではQT延長する作用は弱いとの報告がありますが、これらの薬との併用により効果が強まる可能性があるため注意しましょう。
参考:
医薬品インタビューフォーム クラビット錠 – 第一三共 Medical Community 医療関係者向けサイト
レボクインの注意事項
- てんかんや痙攣を起こしたことがある方は、レボクイン服用により痙攣を起こすおそれがあるため注意しましょう。
- キノロン系抗菌薬に対して過敏症を起こした経験がある方は、過敏症状を起こす可能性があります。
- レボフロキサシンやオフロキサシンに対して過去に過敏症の経験がある方は服用しないでください。
- 不整脈や虚血性心疾患がある方は、QT延長を起こすことがあります。
- 重症筋無力症の方は、服用により症状が悪化するおそれがあります。経過に注意してください。
- 大動脈瘤や大動脈解離の治療中の方や治療後の方、家族歴のある方は服用によってこれらの病気が発生するリスクが高まります。
- 腎機能が低下している方や高齢者の方は、レボクインの排泄が遅れるため血中濃度が高まり副作用が起きやすくなります。
- 妊娠している可能性のある方や18歳未満のこどもは服用しないでください。ただし、炭疽などの重篤な感染症の方はこの限りではありません。
- 乳汁中へレボクインが移行することが報告されています。授乳している方は、レボクイン服用後は授乳しないことをおすすめします。
レボクインのよくある質問
レボクインを服用するうえで気をつけることは何ですか?
服用期間は最低限にし、漫然と服用しないようにしましょう。服用によって症状が軽快しても、体の中には細菌が残っている可能性があります。この状態で服用をやめると耐性菌が発生しやすくなるため、おおよそ1週間を目安に服用してください。
また、腎機能が低下している方や高齢者の方は副作用が起きやすい可能性があります。症状に注意しながら服用しましょう。
レボクインが効かない感染症はありますか?
細菌ではないウイルスや真菌(カビや酵母)には効果がありません。そのため、インフルエンザやカンジダ、アスペルギルスは適応外です。細菌でも、耐性菌が出現していると期待した効果が得られない場合があります。
レボクイン適応の感染症であるにもかかわらず、症状が改善しない場合は早めに医療機関への受診も検討してください。
予防目的で服用してもよいですか?
基本的に認められていません。症状がない状態での予防目的で服用した場合、耐性菌が発生しやすくなったり、副作用のリスクが高まったりします。症状があらわれてから服用しましょう。
飲み忘れた場合はどうすればよいですか?
飲み忘れに気がついたのがその日のうちの場合は、気がついたときにその日の分を服用してください。次の服用時間に近い場合は、飲み忘れた分はスキップします。
飲み忘れたからといって、2回分を一度に服用するのは避けましょう。