バルクロビル(ヘルペス治療薬:バルトレックス ジェネリック)
帯状疱疹は加齢とともに増え続けると言われており、日本人では50~70代は発症率が増加する年代です。実際に80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれています。しかし、帯状疱疹発症者全体のうち約3割は20~30代と言われているため、若い世代でも全く帯状疱疹にかからないとは言えません。
そんな帯状疱疹に対する治療薬として、有名なアシクロビル製剤の経口吸収性を改善した抗ウイルス薬バルクロビルについて解説します。
KeJiアシクロビルは生体内での成分利用率が15~30%と低かったため多くの錠数を飲まなければなりませんでした。しかし、経口吸収性を改善したことで1錠に対する成分の生体利用率が向上したため、少ない錠数を服用しても高い効果が期待できるようになりました。
参考:
帯状疱疹の治療――薬剤開発の歴史と核酸アナログ製剤使用の注意点 – m3.com|エムスリー株式会社
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
KeJi薬剤師資格を有し、ドラッグストア、調剤薬局を経て産婦人科などを標榜する総合病院で勤務中。学会認定資格も活かし、医療系コラムなども執筆しています。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
バルクロビルの概要
- バルトレックスのジェネリック医薬品
- 単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ヘルペスウイルスの増殖を抑える
- 性器ヘルペスの発症抑制としても使用可能
バルクロビルは、インドに拠点がある製薬会社Healing Pharma社が製造販売しているヘルペスウイルスの増殖を抑える有効成分、バラシクロビルを含んだ医薬品です。
| 商品名 | バルクロビル |
|---|---|
| 内容量 | 500mg 10錠/100mg 10錠 |
| 効果・効能 | 単純疱疹(口唇ヘルペス、性器ヘルペス)や帯状疱疹・水痘(みずぼうそう)ヘルペスウイルスの治療、及び性器ヘルペスの再発抑制 |
| 有効成分 | バラシクロビル 500mgまたは1000mg |
| 副作用 | 強い眠気、ふらつき、混乱、痙攣などの精神神経症状 腹部不快や腹痛、下痢や嘔気 など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | ヒーリングファーマ |
バルクロビルはこんな方におすすめ
- 免疫力が低下しやすく、帯状疱疹にかかる可能性が高い方
- 性器ヘルペスを繰り返す方
- 病院に行く時間がないが、抗ウイルス剤を手に入れたい方
KeJiバルクロビルは症状が出現したらなるべく早く服用することが理想とされているため、ヘルペスが出現しやすい方は常備しておくことは大切です。
参考:
バラシクロビル錠 – JAPIC(PDF)
バルクロビルの有効成分について
バルクロビルは、単純疱疹(口唇、性器)ヘルペスや帯状疱疹・水痘(みずぼうそう)ヘルペスウイルスに対する治療薬バルトレックスと同じバラシクロビルを含んだジェネリック医薬品です。
体内に入ったバラシクロビルは、代謝を受けることで活性体となり、細胞内のウイルスDNAポリメラーゼによってウイルスDNAへ取り込まれることで、ウイルスDNAの増殖を抑えます。
バルクロビルの効果・効能
- 単純疱疹
- 帯状疱疹
- 水痘
- 性器ヘルペスの発症抑制
- 造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症の発症抑制
バラシクロビルは服用後、肝臓で代謝され、活性体であるアシクロビルとなります。細胞内に侵入したアシクロビルは、ウイルス性チミジンキナーゼや細胞内キナーゼによってリン酸化され、ウイルスDNAへ取り込まれることで、ウイルスの増殖を抑えます。
なお、ウイルス性チミジンキナーゼは正常細胞には存在しないため、正常細胞への影響は極めて低くなります。
バルクロビルの服用方法・使用方法
【単純疱疹(口唇、性器)ヘルペス感染症】
| 1回の用量 | 500mg 1錠/1000mg 0.5錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 2回 |
| 服用間隔 | 12時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【帯状疱疹ヘルペス感染症】
| 1回の用量 | 500mg 2錠/1000mg 1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 3回 |
| 服用間隔 | 8時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【水痘(みずぼうそう)】
| 1回の用量 | 500mg 2錠/1000mg 1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 3回 |
| 服用間隔 | 8時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
【性器ヘルペスの発症抑制】
| 1回の用量 | 500mg 1錠/1000mg 0.5錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 通常1回、HIV患者の場合2回 |
| 服用間隔 | 通常24時間 HIV患者の場合12時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
使用上の注意
- ウイルスの増殖を抑えることはできますが、神経の中に入り込んだウイルスDNAを取り除くことはできません。
- 口唇ヘルペスや性器ヘルペスの治療には、5日間を服用目安としますが、初発の性器ヘルペスでは重症化する恐れがあるため、10日間服用することがおすすめです。
- 帯状疱疹では、皮疹出現後5日以内の投与開始が望ましいとされており、7日間服用する必要があります。
- 性器ヘルペスの再発抑制に対しては、約1年間服用する必要があります。
バルクロビルの警告・禁忌・副作用
警告
特に記載はありません。
禁忌
過去にバルクロビル(バラシクロビル)やアシクロビルに対して過敏症(アレルギー)を起こしたことがある方
副作用
0.5%以上:汎血球減少、精神神経症状、肝機能検査値の上昇、腹痛、下痢、腹部不快感、嘔気、頭痛、腎障害
0.5%未満:嘔吐、めまい、排尿困難、無顆粒球症、血小板減少、急性腎障害
バルクロビルの他の薬との相互作用
併用しないこと
- 特に併用してはいけない薬はありません。
併用に注意すること
- プロベネシド
バルクロビルの活性代謝物であるアシクロビルの排泄が抑えられ、血中濃度が上昇します。
特に腎臓の機能が低下している方にとっては影響が出る可能性が高いため、慎重な投与が必要です。
- シメチジン
アシクロビルと併用することで、アシクロビルの血中濃度が大きく上昇し、副作用リスクが増加します。
- ミコフェノール酸、モフェチル
アシクロビルと併用することで、双方とも血中濃度が上昇するため、肝臓や腎臓の機能低下を起こす可能性があります。
- テオフィリン
アシクロビルと併用することでテオフィリンの中毒症状である吐き気や嘔吐、頭痛、不眠、不安や興奮、時に痙攣といった症状を招く可能性が高まります。
特に腎臓の機能が低下している方にとっては影響が出る可能性が高いため、注意が必要です。
バルクロビルの注意事項
- 意識障害が出現する可能性もあるため、自動車の運転や危険を伴う機械の操作については注意が必要です。
- 脱水症状を起こしやすい方、特に高齢者では副作用発現リスクが高くなるため、事前に水分補給を行うことをおすすめします。
- 1週間使用しても改善が見られない場合には、薬の服用を中止し、ほかの薬へ変更することが必要です
KeJi薬の血中濃度が高く持続することで副作用の発現リスクが高まります。そのため、水分摂取をこまめに行う必要があります。しかし、水分摂取の制限がある方については、主治医に相談しておきましょう。
参考:
バラシクロビル錠500mg「DSEP」 – くすりのしおり|一般社団法人 くすりの適正使用協議会
バルクロビルのよくある質問
バルクロビルの飲む量は?
単純疱疹や性器ヘルペスの再発抑制には1回500mg、帯状疱疹や水痘には1回1000mg服用します。バルクロビルの場合、それぞれ500mgの錠剤と100mgの錠剤と2規格あるため、飲む際には気を付けておく必要があります。
バルクロビルを飲み忘れた場合、どうしたらいいでしょうか?
飲み忘れに気が付いた時点ですぐに1回分服用しましょう。明確な決まりはありませんが、服用間隔があいていない時は、服用を一旦飛ばし、まとめて2回分服用しないように注意が必要です。
バルクロビルの保管方法は?
直射日光と湿気を避けて、1〜30℃の室温で保管してください。
バルクロビルの効果はいつから期待できるでしょうか?
単純疱疹(口唇ヘルペスや性器ヘルペス)を対象とした国内臨床試験において、5日間投与で有効性が示されていますが、2〜3日程度で症状は改善してくることが多いでしょう。
ただし、初発型性器ヘルペスと帯状疱疹を対象とした国内臨床試験では、それぞれ10日間、7日間までの投与で有効性が示されています。この期間に改善が認められない場合は、本剤の投与を続けても症状が重篤化または遷延化するおそれがあります。
バルクロビルはどの程度有効性があるのでしょうか?
先発医薬品であるバルトレックスで行われた試験結果からは以下の通りでした。
単純疱疹(性器ヘルペスや口唇ヘルペスを含む)に対して、1回500mg1日2回服用した結果、有効性は95.9%(141例/147例)でした。また帯状疱疹に対して1回1000mg1日3回服用した結果、有効性は87.3%(89例/102例)でした。
比較した薬は、以前からある抗ヘルペスウイルス薬であるアシクロビルとなります。
バルクロビルは市販で購入できますか?
バルクロビルは国内では販売されていないため、ドラッグストアや調剤薬局では購入できません。バルクロビルに関連する添付文書等の参考資料