フォシーガ(ダイエット・糖尿病薬)
「血糖値が高くなった」「食事制限や運動をしてもなかなか痩せない」と悩む方におすすめなのがフォシーガです。糖尿病治療薬として販売されていますが、体重減少効果も注目されておりメディカルダイエットとして使用されるケースも増えています。しかし、服用の際には注意点があります。
効果だけでなくリスクも正しく理解したうえで購入を検討しましょう。
なお、本ページは薬剤師が執筆しております。
Nami総合病院での院内薬剤師として勤務。主に救急や外科系の患者を担当しておりました。現在はその経験を活かして、医療系記事の執筆を担当しております。
さらに、医学誌編集経験を持つ看護師が最終確認を行い、医療の専門家による二重のチェック体制で情報の正確性を担保しています。
Ray看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
※本ページの初稿は薬剤師が執筆しております。メドノア編集部が必要に応じて加筆・修正を行いますが、その際も情報の正確性と信頼性を損なわないよう細心の注意を払っています。
なお、フォシーガの体験談レポート、口コミ・効果・感想(レビュー)もございますので、あわせてご覧ください。


フォシーガの概要
- 血糖値を下げる薬
- SGLT2阻害薬のうちのひとつ
- 腎臓での糖やナトリウムの再吸収をおさえて、尿とともに排泄する
フォシーガは、製薬会社アストラゼネカが製造販売しており、有効成分はダパグリフロジンです。腎臓にあるSGLT2のはたらきをブロックし、尿とともに糖を排出することで血糖値を下げます。
また、同時にナトリウムも排出して体内の水分量も調節するため、慢性心不全や慢性腎臓病にも効果が認められています。副次的な作用で体重減少も認められています。
| 商品名 | フォシーガ |
|---|---|
| 内容量 | 14錠 |
| 効果・効能 | 1型・2型糖尿病 慢性心不全(標準的な治療を受けている人のみ) 慢性腎臓病(末期腎不全や透析中の方以外) |
| 有効成分 | ダパグリフロジン 10mg |
| 副作用 | 低血糖・腎盂腎炎・外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽) 脱水・ケトアシドーシス など |
| 形状・剤形 | 錠剤 |
| ブランド | アストラゼネカ |
フォシーガはこんな方におすすめ
- 血糖値を下げたい方
- 低血糖のリスクをおさえながら糖尿病の治療を行いたい方
- 食事のタイミングにしばられずに服用したい方
- メディカルダイエットを行いたい方
フォシーガの有効成分について
フォシーガの有効成分であるダパグリフロジンは、米国で開発されました。日本でも同じ商品名で販売されており、SGLT2阻害薬に分類されます。腎臓にあるSGLT2のはたらきをおさえることで、血糖値を下げたり、体内の水分量を調節したりします。他に分類される糖尿病薬と比較して、低血糖症状が起きにくいことが特徴です。
フォシーガの効果・効能
- 1型・2型糖尿病
- 慢性心不全(標準的な治療を受けている方のみ)
- 慢性腎臓病(末期腎不全や透析中の方はのぞく)
腎臓の尿細管には、SGLT2というタンパク質が存在し、糖とナトリウムを血液中に戻しています。フォシーガはこのSGLT2のはたらきをおさえて、糖とナトリウムを尿と一緒に排泄することで血糖値を下げているのです。
また、ナトリウムとともに水分も排泄するため、水分量の調整が必要な慢性心不全や慢性腎臓病の方にも効果があります。
フォシーガは、余分な糖を尿として排出するため、糖質制限に近いはたらきがあると考えられています。そのため、血糖値の改善や水分量の調節以外にも体重減少効果が報告されており、メディカルダイエットとして近年使用されるようになりました。
Nami臨床試験では、2型糖尿病患者にフォシーガ10mgを24週間服用すると、プラセボ(偽薬)服用者と比較して血糖コントロールの指標であるHbA1cは0.39%低下、空腹時血糖値は19.5mg/dL低下という有意な改善効果が報告されています。
また、フォシーガを52週間服用した2型糖尿病患者の体重が、プラセボ服用者と比較して2.58kg減少したという報告があります。
多くの論文でも体重減少が報告されていますが、体重減少を目的とした適応は認められていません。後に説明する副作用や注意点を確認し、リスクも理解したうえで購入を検討してください。
参考:
・フォシーガ錠 – PMDA(PDF)
・臨床に関する概括評価 フォシーガ – PMDA(PDF)
フォシーガの服用方法・使用方法
| 1回の用量 | 0.5錠〜1錠 |
|---|---|
| 1日の服用回数 | 1回 |
| 服用間隔 | 24時間 |
| 服用するタイミング | 特に指定なし |
Namiフォシーガは症状によって服用する量が異なります。
・糖尿病の方:1回0.5錠(5mg)から開始、効果が得られない場合は1錠(10mg)まで増量
・慢性心不全や慢性腎臓病の方:1回1錠(10mg)
なお、販売されているフォシーガは1錠10mgの製剤です。錠剤を割る場合は、ピルカッターなどを使用しましょう。
参考:
フォシーガ錠 – PMDA(PDF)
使用上の注意
- 低血糖になりにくい薬ですが、その可能性はゼロではありません。
- 腎機能の低下が見られる場合があるため注意しましょう。
- フォシーガの利尿作用で脱水症状が起きるおそれがあります。服用後は適度な水分補給を行いましょう。
- 糖分を尿として出す作用から、尿路感染や性器感染、敗血症などの重い感染症を引き起こすおそれがあります。
- ケトアシドーシスを生じる可能性があります。悪心嘔吐や食欲低下、腹痛、過度な口渇、呼吸困難などが出現しないか注意しながら服用してください。
- ケトアシドーシスは、1型糖尿病の方で起こりやすいです。フォシーガを服用したい方は事前に医師に確認するとよいでしょう。
- 光・温度・湿度によって有効成分が変質し効果が損なわれる可能性があります。高温多湿や直射日光を避けて保管し、使用期限が過ぎたものは使用しないでください。
- こどもの手の届かない場所に保管しましょう。
Namiフォシーガは低血糖になりにくい薬と言われていますが、他の薬を併用していると低血糖のリスクが高まります。
適切な対処をしないと最悪の場合死に至る可能性もあるため、低血糖症状とその対処法を知っておきましょう。
症状:冷汗・手足のふるえ・けいれん・意識低下・異常な空腹感
対処法:糖質を含む食品や砂糖を摂取する(ボグリボースやミグリトールなどの他の糖尿病薬を服用している方はブドウ糖を摂取する)
低血糖症状が起こると、意識消失する方もいます。可能な限り、ご家族の方などにフォシーガを服用していることや対処法を伝えておくと安心です。
参考:
フォシーガ錠 – PMDA(PDF)
フォシーガの警告・禁忌・副作用
警告
該当なし
禁忌
- 有効成分のダパグリフロジンに対して過敏症を起こしたことがある方
- 重いケトーシス状態(吐き気、甘酸っぱいにおいの息、深く大きい呼吸)の方
- 糖尿病性昏睡の状態にある方
- 重度の感染症やケガがある方
- 手術の予定がある方や、手術後の方
副作用
重大な副作用
- 低血糖
- 腎盂腎炎
- 外陰部および会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)
- 敗血症
- 脱水
- ケトアシドーシス
他にも副作用として、以下が報告されています。
- 性器感染症(膣カンジダ症など)
- 尿路感染症(膀胱炎など)
- 食欲低下
- 多飲症
- 便秘
- 口渇
- 頻尿
- 悪心嘔吐
フォシーガの他の薬との相互作用
併用しないこと
併用してはいけない薬はありません。
併用に注意すること
- 糖尿病治療薬全般(インスリン製剤、グリメピリド、グリクラジド、ピオグリタゾン、メトホルミンなど)
フォシーガと同様の効果を持つため、低血糖症状が起こりやすくなります。
- β遮断薬(アテノロール、ビソプロロール、カルベジロールなど)
- サリチル酸剤(アスピリンなど)
- モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン、ラサギリンなど)
これらの薬は血糖値を下げる作用があるため、併用すると低血糖をきたすおそれがあります。
- 副腎皮質ホルモン(ステロイド)
- 甲状腺ホルモン
- アドレナリン
これらの薬は血糖値を上昇させる効果があるため、併用するとフォシーガの効果が得られにくくなり血糖コントロールが不安定になる可能性があります。
- 利尿薬(フロセミド、トラセミド、トリクロルメチアジドなど)
利尿薬の効果が強まる可能性があります。
- リチウム製剤(炭酸リチウム)
併用するとリチウムの排泄が促されて、炭酸リチウムの効果が弱まるおそれがあります。
フォシーガの注意事項
- 血糖コントロールが極めて悪い、高齢者、利尿剤使用中の方などは脱水を起こすおそれがあるため、注意しながら服用しましょう。
- 尿路感染や性器感染の状態にある方は、症状が悪化する可能性があります。心配な方は事前に相談してください。
- 栄養不良、食事が不規則、飲酒量が多い、激しい筋肉運動をしているなどは低血糖を起こすリスクが高いので注意しましょう。
- 1型糖尿病を合併する慢性心不全、慢性腎臓病の方は、ケトアシドーシスを起こすおそれがあります。
- フォシーガを血糖コントロールのために服用する場合、腎機能障害のある方は十分な効果が得られない可能性があります。
- フォシーガを慢性心不全や慢性腎臓病のために服用する場合、腎機能障害のある方は症状が悪化するおそれがあるため注意しましょう。
- 肝機能障害がある方は、代謝が遅れてしまうおそれがあります。
- 妊婦または妊娠している可能性のある方やこどもは服用しないでください。
- 乳汁中へフォシーガが移行することが報告されています。授乳している方は、フォシーガ服用後は授乳しないことをおすすめします。
- 高齢者の方は、口渇などの脱水症状に気付きづらいため経過に注意して服用してください。
フォシーガのよくある質問
フォシーガは低血糖になりにくいですか?
フォシーガはインスリン分泌に頼らない作用から、低血糖症状が起きにくい薬といわれています。しかし、他の薬との併用によっては低血糖が起きる可能性もあるため、低血糖の具体的な症状や対処法を把握しておくことが大切です。
食事の影響を受けますか?
食事の影響は受けないという報告があります。そのため、自身の好きなタイミングでの服用が可能です。ただし、飲み忘れを防ぐためにも毎日同じタイミングでの服用をおすすめします。
フォシーガのダイエット効果はどれくらいありますか?
フォシーガは、尿中に糖を排出させる作用により、体内に吸収されるカロリーを減らす効果が期待されます。
計算上では、1日あたり約70gの糖が排出され、熱量に換算すると約280kcalに相当します。つまり、1ヶ月に換算すると約2100g、約8400kcalの糖が排出される計算です。
体重(脂肪)1kgを消費するには、約7000kcalが必要といわれています。つまり、フォシーガを服用すると1ヶ月で1.2kg程度の減量が期待できるといえるでしょう。
ただし、これはあくまで目安であり、実際の効果は個人の体質、食事内容、運動量などによって異なります。
フォシーガを服用する際に気をつけることはありますか?
尿中に糖を多く排泄させるため、膀胱炎などの尿路感染症やカンジダ症などの性器感染症が比較的多い副作用として報告されています。また、尿量の増加に伴って口渇やめまいなどの脱水症状があらわれやすいのも特徴です。
そのため、こまめな水分摂取をしながら服用して異変がないか常に確認してください。
フォシーガの体験談、口コミ・効果・感想(レビュー)
当サイトが独自に取材したフォシーガの体験談レポート、口コミ・効果・感想(レビュー)もございますので、あわせてご覧ください。

