NHK Eテレで、2025年9月22日(月)午後9:30〜10:00に放映された「明日から使える“新”東洋医学」では、「カサカサ&ベタベタ肌にご用心 」というテーマで秋特有のお肌のトラブルについて解説していました。
MCは松本明子さん、小田井涼平さん。そして3人の新東洋医学の鉄人がそれぞれの立場から、近年の気候変動に対応するために現代の視点を取り入れた東洋医学の観点から肌のトラブルを解消する方法を解説していました。
この番組の最大のポイントは「現代医学と東洋医学を組み合わせている」という点です。
新東洋医学の観点から見るお肌のトラブルについてみていきましょう。
この記事の要点は以下の通りです。
- 秋は「乾燥」と「残暑によるベタつき」の両方が原因で肌トラブルが起こりやすい
- 東洋医学では「肺と皮膚はつながっている」と考えられ、肺の調子が肌に直結する
- 秋特有の乾燥は「燥邪」と呼ばれ、「気血水」のバランスを崩し、全身のカサカサにつながる
- 甘酒ココア:甘酒が脾臓に、ココアが肺に作用し、効率的に肌を整える
- 薬膳食材:肺を補う長ネギ・レンコン・大根や、血虚に良い牛肉・青魚・プルーンなどが有効
- 薬膳レシピ:「焼きさばのたっぷり薬味おろしのせ」で、肺を補い血虚対策にもなる
- ツボ押し「曲池」:大腸系に作用し、便通を整えて肌荒れ改善に効果
- エクササイズ「肺兪」刺激:胸を開く動きで深い呼吸を促し、自律神経を整える
- 便秘対策:肺と大腸は表裏関係にあり、便秘解消が肌トラブル改善の鍵
本記事では、2025年9月22日(月)に放送された「明日から使える“新”東洋医学」を実際に視聴した看護師が番組視聴レポートをお届けします。

看護士資格を有し、療養型病院や急性期総合病院(呼吸器・泌尿器)、特別養護老人ホームで10年以上勤務。認定音楽療法士の資格も取得しました。
また、本記事の内容については、医学的記述や表現に不自然な点がないか、医学誌の編集経験がある看護師が確認済みです。



看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
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秋の肌トラブルは乾燥と肌のベタつき
東京医科大学病院 東洋医学研究所木村容子医師によると秋の肌トラブルは単なる乾燥からくるものだけではなく、残暑の影響による、汗のベタベタからくるトラブルも混在しています。
1回汗をかくとかゆくなり、搔いてしまうのを繰り返すことで肌トラブルを誘発するとのことでした。また、暑いと冷房で過ごすことの多い現代は、新陳代謝も悪く、乾燥肌となり皮脂もつまっていきます。
秋は肌トラブルが多いため、外からのケアだけではなく、内面からのケアもとても重要と言われています。



かゆいところを掻いてしまうと、皮膚のバリア機能が壊れて肌の内部の水分が外に逃げることで肌が乾燥します。
肌が乾燥すると少しの刺激でもかゆみが強まってかいてしまうという悪循環を繰り返し、結果的に皮膚炎を誘発する可能性が高まります。
参考:
なぜ、かゆい? – かゆみと真剣勝負、かゆみの克服を目指して!|順天堂大学 医学研究科 環境医学研究所
東洋医学では肺と皮膚はつながっている
肌を整えるには肺をケアすることが大切だと、木村容子医師は話しています。
肺と皮膚は密接な関係があり、風邪をひくと肌が荒れるとも言われるのもこのためです。
肺はエネルギーや水分を体中に運び、水分量を保ったり、発汗をコントロールしたりして、肌を守ります。
また、東洋医学では体の臓器を5つに分類する考えがあります。
- 肝臓
- 腎臓
- 脾臓
- 心臓
- 肺
肌を守るには肺が大切だということを覚えておきましょう。
甘酒ココアで肌を整える内側からアプローチ
甘酒ココアは肌を整える効果のある飲み物だと、薬膳のプロのワタナベマキさんがおすすめしています。理由は甘酒ココアには肺や脾臓にはたらきかける作用があるからです。
食材 | 作用する臓器 | 効果 |
---|---|---|
甘酒 | 脾臓 | 栄養の消化吸収を助ける |
ココア | 肺 | 肌を守る作用がある |
肺に作用のあるココアを、消化吸収を助ける効果が期待できる甘酒と混ぜ合わすことで、効率的に肌のケアができます。
簡単にできるので、ぜひ日常にとりいれてみましょう。
甘酒ココアレシピ
材料:1人分
- 甘酒 80ml(米麹で作ったもの、ストレートタイプ)
- ココアパウダー無糖 大さじ2
- 熱湯 80ml
作り方
- ココアを熱湯で溶かす
- 鍋で温めた甘酒を加えて、完成
秋は「燥邪」に注意!血や水のバランスが大切
秋は乾燥した環境により、身体にさまざまな影響を及ぼします。これを「燥邪」と呼び、特に肺が影響を受けます。
また「気血水」と呼ばれる体の中のバランスを崩しがちです。
「気血水」とは以下のようなものです。
- 「気」生命活動のエネルギー
- 「血」血液とその機能を指す
- 「水」汗やリンパ液などの体液
特に「血」が少なくなった「血虚」と呼ばれる状態は、皮膚、目、髪の毛など全身の乾燥につながります。
全身のカサカサのサインが出ているときは体の中の「血」「水」に影響が出ているため、早めに対応していきましょう。
ツボおしで肺と大腸を刺激し肌を整えよう
肺の調子を整え、肌を整えるツボおしについて、鍼灸師・あんまマッサージ指圧師の石垣英俊さんに話を聞いています。
肘を曲げたときにできるしわの先の部分の「曲池」というツボは、肺と表裏関係にある大腸系に作用するツボです。お通じが良好になり、余分な熱や毒素の排出により、肌荒れや吹き出物の改善が期待できます。
曲池ツボおし方法
- 肘を曲げ「曲池」を中指でぐっと押さえる
- その状態で手首を5~10回、回す
- 反対も同じことを繰り返す
※痛みや気分不良が出現した際はすぐに中止してください。
呼吸を深めるエクササイズで肌を整えよう
次は背中にある「肺兪」(鎖骨の裏1.5cm下、背中の中心3cm程外)と呼ばれるツボを刺激するエクササイズです。
これは肋骨、胸骨、背骨など胸部を覆う骨の集まりを柔軟にし、深い呼吸にかえていきます。自律神経を整え、その結果肺の調子を整え、秋の肌トラブルも改善されます。
肺兪エクササイズ方法
- 肩甲骨を内側に引き寄せながら、胸を開く。深い呼吸を意識する
- 手を後ろでくみ、息を吸いながら肩甲骨を近づける
- 腕を少し上げる
- 息を吐きながら腕を下していく
- 同じことを5~10回繰り返す
※顎が出たり、腰がそれたりしないように注意しましょう。
※痛みや気分不良が出現した際はすぐに中止してください。
木村医師からの新常識クイズ!
ここからは、木村医師が番組内で出題されていた新常識クイズを示します。ぜひ挑戦してみて下さいね。
Q .肌トラブルの原因となる体調不良は?
- 肩こり
- 耳鳴り
- 便秘
A .答は3の便秘です。
肺と大腸は表裏関係と言われ、つながっています。便秘は肌荒れの原因となるため、
水分、食物繊維をしっかり摂りつつ、体も動かして便秘対策をしていきましょう。



便秘によって老廃物が腸内に溜まり続けるとそれらが血液を介して全身にめぐり、肌トラブルを起こすと考えられています。
そのため、便秘対策は肌をきれいにするためにも必要です。
参考:
【医師監修】便秘は肌荒れの原因!?肌に及ぼす影響と解消法もご紹介 – 知って得する!腸活コラム|健栄製薬
肺を補い肌の調子を整える薬膳ごはん
肺を補い、血虚におすすめの料理を薬膳のプロ、料理研究家であるワタナベマキさんが紹介します。
肺を補う食品 | 血虚におすすめの食材 |
---|---|
・長ネギ ・レンコン ・かぶ ・大根 ・レモン | ・牛肉 ・マグロ ・青魚 ・プルーン ・きくらげ |
大根は少し辛みがあるので、レモンなどの酸味で中和させると食べやすいとのことです。
焼きさばのたっぷり薬味おろしのせレシピ
材料:2人分
- さば3枚おろし:2枚
- 大根:300g
- 片栗粉:大さじ1
- しょうが:1かけ
- 細ネギ:2本
- しょうゆ:大さじ1
- レモン汁:大さじ1
- ごま油:大さじ1
- 七味唐辛子:少々
作り方
- さばの小さな骨を取り除く
- さばを3㎝ほどに切ります
- さばの両面に片栗粉をまぶす
- 大根をおろし、水気を絞る
- しょうが、細ネギ、しょうゆ、レモン汁を大根おろしと混ぜる
- ごま油をフライパンに入れ、片栗粉をまぶしさばを皮面から焼く
- さばを返して、4~5分さらに焼く
- 出来上がったさばに大根おろしをのせ、七味唐辛子を少々まぶして出来上がり
まとめ:秋の肌トラブルには、肺をいたわろう
秋の肌トラブルには、乾燥や、残暑による汗のべたつきなどさまざまな原因が考えられます。また、外からだけではなく、内面からのアプローチもとても大切です。
東洋医学では肌と肺は密接な関係があるとしています。
肌を整えるには、肺のケアが必要不可欠です。番組内で紹介されていた食事やツボ押し、エクササイズなどを日常に取り入れ、秋の肌トラブルを対策していきましょう。
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