毎日の散歩や通勤の歩き方、意識していますか?
実は、少しだけ歩く速さを上げるだけで体力に変化が出ることが、最近の研究で分かってきました。米国シカゴ大学などの研究チームは、自分の普段の歩行に1分で14歩をプラスするだけで、体力テストの成績が改善する人が増えたと報告しています。
特別な器具や長時間の運動は必要ありません。まずは1分間、歩数を意識して歩くことから始めるだけでも、少しずつ体力向上につながる可能性があります。
- Rubin DS, et al. Walking cadence as a measure of activity intensity and impact on functional capacity for prefrail and frail older adults. PLOS ONE. 2025-07-16. doi:10.1371/journal.pone.0323759
(1分で14歩の追加で6分間歩行の改善) - University of Chicago Medicine News. Walking slightly faster could help older adults stay fit. 2025-07-16
(約100歩/分を目安にという解説) - Tudor-Locke C, et al. How fast is fast enough? Walking cadence as a practical measure of intensity.Br J Sports Med. 2018
(1分で100歩が中強度の目安)
本研究の要点は以下の通りです。
- 1分で14歩をプラスすることで6分間歩行テストの改善につながった
- 速さの目安は約100歩/分とされている
- 速くしすぎず安全に続けることが大事
- 自分の1分あたりの歩数を数える
- 次の歩行で14歩/分をプラスするイメージで歩く
- 信号1本分や建物から駅までなど、数分で終わる区間を区切って取り入れる
- 体調が悪い日は無理をしない
- 段差や人混みでは速度より安全を優先する
- 持病がある人は医療者に相談のうえで行う
なお、本記事の内容については、表現に不自然な点がないか、医学雑誌の編集にも携わっていた編集の専門家が確認済みです。

編集プロダクションでの勤務経験があり、医療系出版社の月刊誌にて校正、校閲業務実績がございます。
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研究の概要
研究チームは、高齢の前虚弱〜虚弱にあたる人を対象に、歩行プログラムの効果を調べました。参加者にはまず通常の歩行ケイデンス(歩/分)を測定し、そのうえで「普段の歩行+14歩/分」を目標に、日常の散歩や歩行中に取り入れてました。
プログラムでは歩数やリズムを数えながら歩く練習を行いました。その後、6分間歩行テストや体力測定を行い、介入前後で変化を比較しています。
いつ | 2025年7月16日公開(PLOS ONE) |
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誰が | 米国・シカゴ大学医学部を中心とする研究チーム(Rubinら) |
対象 | 102人、平均79歳の前虚弱〜虚弱高齢者(高齢者住宅に居住) |
何をしたか | ・高強度歩行群と普段ペース群で12週間の歩行介入 ・大腿装着型センサーで歩/分を計測 |
何を測ったか | 主要評価は6分間歩行テストで最小重要差を超えて改善したか |
結果 | ・普段の歩行より14歩/分をプラスした人ほど改善の確率が上がった ・高強度群の中央値は約100歩/分に達した |
まずは「1分を数える」から
まずは、自分の普段の歩く速さを知ることが大切です。外出時に60秒だけ時計を見ながら歩数を数えてみましょう。信号待ちの前後や、家のまわりを歩くときなど、ちょっとしたタイミングでOKです。
次の目標は「普段の歩行+14歩/分」です。例えば現在あなたの歩数が86歩/分なら、次は100歩/分を目指しましょう。この歩数は多くの大人にとって、心拍数や呼吸が少し上がる程度の中くらいの強さ(中強度の運動)にあたることが研究から示されています。
無理に長く続ける必要はなく、最初は1分間だけでも十分です。慣れてきたら、信号1本分や曲と曲の間など、日常の区切りに合わせて少しずつ取り入れていくと続けやすくなります。
生活に組み込みやすい場面
特別に長い距離を歩く必要はありません。
通勤や通学のときは電柱2本ぶんだけや、買い物では店の通路を1本だけ速めに歩くなど、短い区間を区切って工夫できます。家の中でも少し速く歩くことで代用可能です。また、疲れている日は30秒だけでも十分です。
大切なのは一度に長く歩くことではなく、小さな積み重ねを日常のあちこちに散りばめることです。無理なく続けられる工夫が、習慣化への近道です。
効果が感じにくいときの工夫
歩く速さを上げるのが難しい日は、歩幅を少し広げる、腕をしっかりふる、背すじをまっすぐ伸ばすといった工夫を組み合わせてみましょう。
歩くテンポがつかみにくい場合は、スマートフォンのアプリにあるメトロノームや音楽のリズムを利用すると、一定のテンポで歩きやすくなります。記録をつける際は、歩/分と歩いた時間だけで十分です。
数値にこだわりすぎず、無理なく続けることを優先しましょう。小さな調整が積み重なることで、体力改善の効果を感じやすくなります。
「普段の歩行+14歩/分」に関するよくある質問
まとめ
研究では、「普段の歩行+14歩/分」を足すだけで、6分間歩行テストなどの体力評価が改善する人が増えることが分かっています。まずは1分間、自分の普段の歩数を数えて基準を確認しましょう。
次の1分で、目標を+14歩/分に設定して歩いてみます。長い距離や時間は必要ありません。信号1本分や家の廊下の往復など、短い時間で小さく始めるのが続けやすく、安全に体力向上につながります。
無理のない範囲で、今日から少しずつ取り入れてみましょう。
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