紫外線対策の重要性は分かっていても、忙しさや習慣の中でつい後回しにしてしまうことがあります。
そんな中、スイスの研究では、自分の顔写真をAIで将来の肌の状態に変換する体験を行ったところ、日焼け止めや日差し対策への意識が高まり、2年後もその行動を続けやすいことが報告されました。
AIによって自分の将来像を「見える化」することで、手軽で直感的に紫外線対策の重要性を実感でき、日常の行動に変化をもたらす可能性があります。
- Gantenbein L, Cerminara SE, Maul J-T, Navarini AA, Maul LV. Artificial Intelligence-Driven Skin Aging Simulation as a Novel Skin Cancer Prevention. Dermatology. 2025;241(1):59-71. Epub 2024-10-14. doi:10.1159/000541943
(n=60、老け顔シミュレーション直後と2年後の意識・行動の変化を自己申告で評価) - PubMed Central(フルテキスト): PMCID: PMC11793091
(主要な結果図表と方法の詳細)
本研究の要点は以下の通りです。
- 若い女性60人を対象に実施。AIで老化やシミをシミュレーションした直後、紫外線対策の重要性への意識が上昇
- SPF50+の日焼け止めを選ぶ人が増え、2年後も高い水準で維持されていた
- 予防行動の意欲全体が広く高まる傾向が見られ、日常の紫外線対策の行動につながりやすいことが示唆された
- 外出の予定に合わせて、帽子や日傘をあらかじめ用意する
- 屋外で過ごす場合は、紫外線が強いピーク時間(10〜14時)を避ける工夫をする
- 顔の定点写真を撮って、AIやアプリで変化を見える化することで、紫外線対策の意識を維持しやすくなる
- 観察研究であり、自己申告中心のデータに基づく結果である
- 対照群がなく、小規模研究(60人)のため一般化には注意が必要
- 実際の日焼け止め使用量や塗布状態など、客観的データは未測定である
なお、本記事の内容については、表現に不自然な点がないか、医学雑誌の編集にも携わっていた編集の専門家が確認済みです。

編集プロダクションでの勤務経験があり、医療系出版社の月刊誌にて校正、校閲業務実績がございます。
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研究の概要
本研究は、スイス・バーゼル大学病院の皮膚科にて、健康な若年女性60人を対象に実施されました。
参加者の顔写真をAIで80歳まで連続的にシミュレーションし、その直後と2年後に紫外線対策に関する意識や行動の変化をアンケートで評価しました。
この研究は、皮膚がんの予防行動を促進することを目的とした介入研究であり、臨床診断ではなく予防行動の動機づけに焦点を当てています。
いつ | Epub 2024年10月14日、2025年号掲載(Dermatology) |
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誰が | スイス・バーゼル大学病院 皮膚科の研究チーム |
対象 | 若年女性60人(平均23.6歳) |
何をしたか | ①顔をVISIA-CRで撮影 ②AIを使い将来の肌変化(シミや老化)を可視化 ③直後と2年後に紫外線対策に関するアンケートを実施 |
結果 | ・紫外線対策の重要度スコアが有意に上昇 ・SPF50+の日焼け止め選択率が直後46.7%→2年後60%に増加 ・予防行動の意欲も有意に上昇(p<0.001など) |
自分の顔を使ったAI体験がなぜ紫外線対策に効くのか
健康情報は抽象的だと、どうしても行動に結びつきにくいものです。
しかし、自分の未来の顔をAIで見せると、リスクが「身近な実感」として伝わる効果があります。見た目の変化は直感的に理解できるため、難しい統計や数式を理解する必要はありません。
実際、研究でもAIで将来の肌変化を示した直後と2年後に、紫外線対策の重要度スコアや予防行動の意欲が有意に上昇していることが確認されました。
外見(アピアランス)に基づく介入の一種で、特に若い世代の紫外線対策の意識向上に効果的であると考えられます。
研究結果を日常に活かす紫外線対策
まず、日差しの強い時間帯(特に10〜14時)は屋内で過ごすか、日陰を選ぶことが基本です。
外出する場合は、広域スペクトル(UVA・UVB対応)の日焼け止めを規定量(2mg/cm²が目安)に近い量で塗ると効果的です。指2本分のラインを目安に塗ると再現しやすく、塗り残しも減らせます。
暑い日や汗をかく場合は、2〜3時間おきに塗り直すことをおすすめします。さらに、つばが広い帽子やUVカット加工の上着を併用すると、日焼け止めの使用量が不足しても紫外線をカバーでき、安心感が高まります。
研究では自己申告による評価でしたが、帽子や日焼け止めをあらかじめ準備しておくなど、環境を整えることで実行率が上がることも分かっています。小さな工夫を積み重ねることで、紫外線対策を習慣化しやすくなります。
研究の限界と今後の展望
この研究にはいくつかの限界があります。
まず、対照群がなく小規模(60人)であり、データの多くは自己申告に依存しています。そのため、実際に使用された日焼け止めの量や、日焼けの客観的な指標までは評価されていません。
とはいえ、直後だけでなく2年後まで紫外線対策への意識や行動意欲の上昇が見られた点は注目に値します。これは、AIによる「未来の自分の肌の可視化」が、長期的な行動変容のきっかけになる可能性を示しています。
今後は、ランダム化比較試験(RCT)での検証や、男性や他の年齢層への応用など、より幅広い対象での研究が期待されます。
また、日焼け止めの使用量や紫外線暴露量を客観的に測定することで、効果の正確な評価も進むでしょう。
日焼け対策に関するよくある質問
まとめ
AIで「自分の未来の肌」を視覚化することで、紫外線対策への意識や行動が高まる可能性が示されました。
重要なのは完璧を目指すことではなく、続けやすさを重視することです。日焼け止めや帽子・日傘など道具をあらかじめ用意し、毎日の小さな行動を習慣化することで、紫外線から肌を守る力を少しずつ積み上げられます。
まずは今日1分だけでも日焼け止めを塗る、あるいは帽子をかぶるなど、できる方法から始めてみましょう。
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