朝にまとめてコーヒーを飲む人ほど、心疾患などによるリスクが低い傾向が出た研究

朝にまとめてコーヒーを飲む人ほど、心疾患などによるリスクが低い傾向が出た研究

毎日のコーヒー、あなたはいつ飲んでいますか。

最新の大規模研究では、朝にまとめてコーヒーを飲む人ほど、心疾患などによるリスクが低い傾向があると報告されています。

反対に、午後や夜に少しずつ飲み続ける人では、効果が明確には見られませんでした。

研究では、カフェインの代謝リズムや体内時計との関係も指摘されています。朝に集中して飲むことで、心臓や血管にかかる負担が軽減され、日中の活動に良い影響を与える可能性があるのです。

つまり、「どれだけ飲むか」だけでなく「いつ飲むか」が、コーヒーの健康効果を左右するカギになるかもしれません。

本記事では、研究結果の詳細と、日常生活にどう取り入れるかについて解説していきます。

本研究の要点は以下の通りです。

研究まとめ
何が分かったか
  • 朝にコーヒーを飲む人は死亡リスクが低めという関連がある
  • 心疾患で亡くなるリスクも、朝に飲むことで低めになる
  • 観察研究のため、因果関係は未確定
やり方のコツ
  • コーヒーは起床から昼までに飲む
  • 量は1〜3杯を目安にする
  • 夕方以降は控え、睡眠を守る
注意しておきたいこと
  • 研究はあくまで関連の観察にとどまる
  • 砂糖やクリームは控えめにする
  • 不整脈や妊娠中は主治医と相談する

なお、本記事の内容については、表現に不自然な点がないか、医学雑誌の編集にも携わっていた編集の専門家が確認済みです。

この記事を確認した編集者
Touma

編集プロダクションでの勤務経験があり、医療系出版社の月刊誌にて校正、校閲業務実績がございます。

目次

研究の概要

米国の代表的な住民データを用いた調査では、朝だけコーヒーを飲む人と一日中コーヒーを飲む人を比較し、死亡リスクとの関連が分析されました

本研究では、年齢や性別、喫煙や運動習慣など、健康に影響するさまざまな要因を統計的に調整したうえで、飲むタイミングの違いが死亡リスクにどのように関係するかを調査しています。

いつ2025年1月(European Heart Journal)
誰がテュレーン大学を中心とする研究チーム
対象米国成人40,725人(1999年~2018年の間に実施された米国全国健康・栄養調査〈National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES〉の参加者)
追跡
機関
約10年
分析方法コーヒー摂取の時間帯と全死因死亡率および心血管疾患による死亡率との関連を評価
・朝型:午前中(午前4時~正午)に主にコーヒーを摂取
・一日中型:午前、午後、夜間を通じてコーヒーを摂取
・非摂取者:コーヒーを飲まない人
結果朝型コーヒー摂取者:
全死因死亡率が16%低下
心血管疾患による死亡率が31%低下

一日中型コーヒー摂取者:
全死因死亡率および心血管疾患による死亡率に有意な低下は見られなかった

コーヒー摂取量:
・1~3杯の摂取でリスク低下が顕著
・1杯未満や3杯以上の摂取では、リスク低下の傾向は見られたものの、統計的に有意ではなかった

飲む時間で変わるカフェインの影響

体のリズムは朝に高まり、夜は落ち着く傾向があります。そのため、朝にコーヒーを飲むと、日中の覚醒を助け、集中力を高めることができます。

一方で、夕方以降にカフェインを摂取すると、睡眠の質が低下しやすく、結果的に心血管リスクに影響を与える可能性があります

今回の研究では、因果関係を証明したわけではありませんが、「朝に集中して飲み、夜は控える」という飲み方は、体内リズムや健康面から考えて理にかなっているといえます。

朝にまとめて、夜は控える

コーヒーは、朝にまとめて飲むことで健康効果を最大化でき、覚醒作用や心血管の健康への効果も期待できます。朝食と一緒に1杯、さらに午前中の会議前にもう1杯といった摂取が理想です

午後はカフェインが睡眠に影響しやすいため、デカフェやお茶に切り替えると安心です。特に、寝つきに悩む人は就寝の6時間前以降のカフェインを避けると、睡眠の質が改善されやすいと報告されています

また、砂糖やフレーバーシロップは控えめにすると、長期的な健康への負担を減らせます。

まとめて朝に飲み、午後は控えるといったシンプルな習慣が、コーヒーを日常生活に無理なく取り入れるコツです。

研究の限界を理解してコーヒー習慣を考える

今回、紹介した論文は観察研究であり、因果関係を断定するものではありません

朝にコーヒーを飲む人は、生活リズムが整っていたり、運動習慣があるなど、健康に良い行動を同時に取っている可能性があります。こうした背景要因が、研究結果に影響しているかもしれません。

専門家の間でも、「観察研究の結果をそのまま因果と捉えないように」という意見があります。数字や統計はあくまで参考値として捉え、自分に合ったコーヒーの飲み方は、睡眠の質や日中の体調を基準に調整するのが望ましいでしょう。

コーヒーと健康に関するよくある質問

何杯までが目安ですか?

多くの研究によると、コーヒーは1日3〜5杯までが一般的な目安とされています。

特に、心血管リスクの低下が報告されているのは1〜3杯程度です。

ただし、砂糖や生クリームなどの添加物を多く入れると、カロリーや脂質が増えて健康効果が薄れることがありますので、控えめにすることが推奨されます。

カフェインに弱いのですが、どうすればいいですか?

動悸・不眠・手の震えなどカフェインに敏感な症状が出る場合は、無理に飲む必要はありません。カフェインが気になる方は、下記を参考に体調に合わせて調整しましょう。

・飲む量を減らす(半分や1杯にするなど)
・デカフェ(カフェインレスコーヒー)に替える
・午後以降はコーヒーを控える

ただし、個人差が大きいため、自分の体調や生活リズムに合わせることが大切です。

コーヒーをやめる必要はありますか?

体調が安定している場合、コーヒーをやめる必要はありません。

朝にまとめて飲むことで体内リズムに合わせやすく、夜は控えることで睡眠への影響を最小限に抑えることができます。適量を守り、自分の体調に合わせて飲むことが重要です。

ただし、持病のある方や妊娠中の方は、必ず主治医に相談してから摂取するようにしてください。

まとめ

コーヒーは一日中だらだら飲むより、朝にまとめて飲み、夜は控えめにするのが望ましいとされています。

最新の大規模研究では、朝にコーヒーを飲む人ほど、死亡率や心疾患リスクが低い傾向が報告されました。ただし、本研究は観察研究であり、因果関係を断定できるものではありません。

夜にコーヒーを飲むと睡眠の質が低下しやすく、日中の集中力や体調にも影響が出ることがあります。反対に、朝に飲むことで覚醒や代謝が促され、日中の活動やパフォーマンスにも良い影響を与える可能性もあります。

まずは、飲むタイミングを意識して「朝にまとめて、夜は控えめ」という習慣を試してみるとよいでしょう。

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本記事の監修者・執筆者

メドノア編集部が監修・執筆。
記事により薬剤師による執筆、また、適宜、医療系国家資格を有する専門家(看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当)が、医学的記述や表現に不自然な点がないか確認をしています。
確認済みの記事には、その旨記載しております。

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