禁煙補助薬「チャンピックス(Champix)」のジェネリック医薬品で有効成分バレニクリンを配合した「スモスト」を実際に使用した50代後半の男性「なつき」さん(大阪府)より、体験談をレポートしていただきました。
体験談の要点は以下の通りです。
- 大阪万博に向けた禁煙化の流れや喫煙環境の減少がきっかけ
- 喫煙仲間の体調不良(気胸)による現実的な危機感
- 4度目の挑戦として「本気で禁煙しよう」と決意
- 服薬開始から数日で「タバコの味が不味くなる」「満足感が減る」と実感
- 副作用として胸のムカムカ感、集中力低下、頭がぼーっとする感覚が出現
- 7日目には「吸う意味がない」と感じ始め、喫煙への執着が弱まる
- 喫煙衝動との葛藤はあったが「禁煙の呼吸」や飴・茎わかめなどで対処
- 日を追うごとに欲求が弱まり、タバコを「遠い存在」と感じるようになる
- 喫煙に費やしていた時間とお金が残り、生活リズムや経済面でも改善を実感
なお、本記事の体験談内容については、医学的記述や表現に不自然な点がないか、医学誌の編集経験がある看護師が確認済みです。

看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
それでは、次より実際の体験談レポートをご紹介いたしますが、本記事は個人の体験談であり、効果・感じ方には個人差があります。
あくまでも個人の感想ですので、効果・効能を保証するものではありません。医薬品の使用は自己責任で行い、体調変化を感じた場合は医師にご相談ください。
※禁煙の効果については以下の記事もあわせてご覧ください。


喫煙環境の減少と喫煙仲間の肺気胸を目の当たりにして、4度目の禁煙のきっかけに
これまで私は3度の禁煙に挑戦し、そのたびに「今度こそは」と思いながらも、気づけばタバコに逆戻りしていました。
そんな私が、今回こそ本気で禁煙に踏み切ろうと決意したきっかけは「大阪万博」です。
開催に向け、今年に入ってから街全体で禁煙の動きが一層厳しくなり、生活圏から喫煙環境がどんどん消えていきました。
最後の砦だった職場から徒歩10分ほど離れた喫茶店も、条例や世の中の流れには逆らえず、ついに禁煙化。
30分の休憩時間のうち、往復に20分を費やし、残り10分で慌ただしくタバコを吸う。そのために毎回600円のコーヒー代を払っていた、あの不合理な行動すら続けられなくなったのです。
そんな折、喫煙仲間だった同年代の同業者が、仕事中に気胸で倒れ、救急搬送されるという出来事がありました。彼は1カ月ほど休養したのち職場に復帰しましたが、その時に私へこう言ったのです。
「ナツキさんも絶対やばいって。これだけ長年吸ってはったら手遅れやけど、少しでもリスク下げたかったらやめたほうがええですよ」
「え、手遅れ…って‥(汗)」
喫煙環境の減少と喫煙仲間の肺気胸の現実を目の当たりにして、4度目の禁煙を後押しするきっかけになりました。



気胸とは肺に穴が開いてしぼむ病気です。10~30代と若い世代は喫煙の有無にかかわらず発症するリスクがあります。
30代以降については喫煙によって既に肺に何かしらの病気を発症していることによって気胸に移行します。
参考:
気胸 – 呼吸器の病気|近畿中央呼吸器センター 診療部
今回、禁煙するために選んだのは禁煙内服薬「スモスト」です。
個人輸入で取り寄せて2週間使用した体験を詳細に記録しました。
果たして薬は効くのか、それともまた失敗してしまうのか‥そんな不安を抱えながら始まった1日目から7日目までの体験を、時系列でまとめてみます。
「日本語説明書付きで届いたスモスト」服薬初期1週間のスモスト 0.5㎎ スターターパック 体験談


今回、禁煙補助薬としてスモストを選び、個人輸入で取り寄せました。
意外だったのは、箱の中に日本語の添付文書と「簡単服用ガイド」が同梱されていたことです。


0.5mgのスターターパックと1mgのメンテナンスパック、それぞれに分かりやすいパッケージがあり、錠剤の色も異なっていて混同しにくい仕様になっています。
説明書には服薬スケジュールが日本語で図表化されており、1日目から7日目までは0.5mgで徐々に回数を増やし、8日目以降は1mgに切り替える流れが一目で理解できました。


「個人輸入=すべて英語の説明書」というイメージを持っていましたが、この日本語ガイドに驚くとともに、安心感がありました。
こうして準備が整い、いよいよスモストを服薬し始めることになります。
ここからはいよいよ服薬初日から1週間、私がどのような変化を体感したのかを日ごとに振り返っていきます。
スターターパックの服薬スケジュール
私が購入したスモストの0.5mg(スターターパック)は11錠入りになっていました。
服薬は少量から始め、徐々に回数と用量を増やしていく形です。
付属の「簡単服用ガイド」に従うと、初期の1週間は次のような流れになります。
1日目〜3日目 | 朝食後に0.5mgを1日1回 |
4日目〜7日目 | 朝食後と夕食後に0.5mgを1日2回 |
ここまでの最初の1週間は喫煙してもよく、ステップアップ方式で体を薬に慣らしながら禁煙開始をするための準備となります。
そして、8日目からはいよいよ1mg錠(メンテナンスパック)に切り替え、本格的に禁煙がスタートします。
スケジュールが図表形式で日本語化されていたおかげで、大変わかりやすく安心して服用できました。
個人輸入でありながら、ここまで丁寧にガイドされているのは意外でしたが、日本向けに出荷されているという安心感がありました。
1日目:服薬スタート
朝食後、スモスト0.5mgを服用開始。
飲んでから15分ほど経っても特に変化はなく、普通に吸えました。ところが2時間ほど経つと、タバコを吸ったときにごくわずかな違和感があり、喫煙の満足感でいえば1割ほど減った印象です。
でも、その後、6時間後、12時間後と吸うたびに同じような「やや違和感」を感じるようになり、味わいは引き続き1割減ですが「まだまだ吸える」感じ。
2日目:味の違和感が強まる
朝食後の服薬後、3時間経過した頃からさらに味に異変を感じはじめ、昼になるとその感覚はさらに強まりました。
タバコの味が平坦で、「吸っているのに物足りない」と感じるようになり、満足感は体感で2割ほど減少。ニコチンが体に入ってこないような、不思議な“空振り”のような吸いごたえでした。
夜の一服では、その違和感が一層はっきりしました。
味わいは以前ほど心地よくなく、1本吸い切るのに時間がかかります。口にしても気持ちが満たされない。それでも「習慣だから吸う」という自分との矛盾に、少しストレスを覚えました。でも、まだ吸えましたし、「この先禁煙して吸えないなら今のうちに吸っておこう」と抗う自分がいました。
3日目:吸うこと自体がしんどくなる
3日目の朝、タバコを吸ってみましたが、火をつけても引き続き満足感が減少。そして「タバコのことを考えると気分が重くなる」という感覚が出てきて、吸うこと自体が少ししんどく感じられました。
服用30分後あたりに、副作用と思われる症状も出てきました。
軽い吐き気のような胃のモヤモヤ感を自覚し、加えて集中力が落ち、頭がぼーっとした状態が3時間ほど続きました。
昼には、体感で3割ほど満足感が減少。夜になると、タバコの味ははっきりと「不味い」と感じるようになりました。それでも、「まだ負けない」とまずさに抗いながら吸い続けるという矛盾を抱えたまま一日を終えました。
4日目:服薬量を増やす日
この日からは服薬スケジュールがステップアップし、0.5mgを朝と夜の2回飲む形になりました。
「用量を増やすことで、副作用が強く出るのでは?」と少し不安を抱きながら朝の一錠を服用しました。
その後の一服は、はっきりと「不味い」と感じるようになりました。
吸っても喉や口に広がるのは草を燃やした変な味で、以前のようなリラックス感はまったく得られません。
一方で、前日に感じたような集中力の低下や“ぼーっとする感覚”は、この日はほとんどなく、仕事や生活に支障はありませんでした。
夜の服用後も同じようにタバコを吸いましたが、味の悪さはより強調されるばかりで、火をつけるたびに「美味しくない」と思わされます。
1本を吸いきるのが無理になり、付けては消しを繰り返し、煙草の消費本数が増えました。
煙草のまずさを自分に叩き込むかのような1日となりました。
5日目:副作用をはっきりと自覚
5日目の朝も0.5mgを服用しました。前日から夜も飲み始めたことで、朝一番のタバコに対する満足感はさらに減少。「吸っているのに落ち着かない」という感覚が強まり、リラックスできません。
タバコの味はすでに「美味しい」とは思えず、惰性で火をつけるだけ。煙草をくわえている時間が異常に長く感じられ「なぜ吸っているんだろう」と自問する場面が増え、喫煙への執着が少しずつ薄れていくのを感じました。
「まだ吸える」とは到底思えず、無理にでも吸えなくなってきて禁煙薬の効果に喫煙習慣が抗えなくなってきました。
6日目:慣れと虚しさ
6日目になると、服薬そのものにはすっかり慣れてきました。0.5mgを朝夕に飲むことが日課となり、副作用はありませんでした。
タバコに対する感覚は大きく変わってきて、確かに頑張れば吸える、が、吸っても味は不味く薄く、満足感はほとんど得られません。
「吸っても仕方ないな」「意味がないかもしれない」と思いながら火をつける自分に、嫌気がさしました。ニコチンが摂れないせいか、虚しさや悲しさを時折感じました。
7日目:抗いと成仏
禁煙前夜の7日目。
「明日から本格的に禁煙が始まる」と思うと、どこかで「今のうちに吸っておこう」という気持ちが湧いてきました。そこでタバコに火をつけるものの、吸うたびに突きつけられるのは『美味しくなさ』でした。かつてのような満足感はなく、口に広がるのは苦味と違和感だけ。
寝る前に最後の抵抗のように2本続けて吸いました。しかし、その時ふと「もういいわ」と思えたのです。
不味さを実感するたびに、「タバコを吸いたい」という気持ちが少しずつ削ぎ落とされ、最終的にその執着心が“成仏した”ように感じました。
こうして、スモスト服薬1週間の“準備期間”が終わり、翌日からは1mg錠に切り替えての本格的な禁煙がスタートします。
スモスト 1㎎ メンテナンスパック の体験談


0.5mgのスターターパックで7日間を過ごし、タバコの味の変化や副作用を体感しながら「吸う意味がなくなってきた」と感じるところまで進みました。
そしていよいよ8日目からは、1mg錠へと切り替わり、本格的な禁煙がスタートします。
ここから先は、「喫煙衝動との真っ向勝負」が始まります。
タバコを吸わない生活に体と心がどう順応していくのか。副作用はどう変化するのか。
2週間にわたる私のリアルな記録を、8日目から14日目まで振り返ってみたいと思います。
薬を1㎎に変えていよいよ禁煙開始
8日目:1mg錠に切り替えて本格スタート
早朝に目が覚めたので、試しにタバコに火をつけてみました。結果は予想通り…不味い。もう美味しいと感じることはなく、これが最後の確認になりました。



スターターパックのうちは喫煙しても問題ありませんが、メンテナンスパックになってから喫煙すると禁煙の失敗に繋がる可能性が高まります。
そのため、メンテナンスパックに切り替わったら喫煙を控えましょう。
そして朝食後、1mg錠を初めて服用。ここから本格的な禁煙が始まります。
服薬から30分ほどすると、初期に0.5mgを飲み始めた頃と同じように、胸のムカムカ感や、時折頭がぼーっとするような副作用を感じました。
過去に別の禁煙薬を使用した際にも経験した症状でしたが、こればかりは何度経験しても嫌な感覚です。特に車の運転など、集中を要する作業は避けた方が良いと改めて実感しました。
一方で、タバコを吸う習慣がなくなったことで職場の過ごし方も変わりました。これまで喫煙のために外へ出ていた休憩時間も、今は禁煙の休憩室でゆっくり座って過ごすように。
往復の移動もなくなり、結果的に休憩時間をしっかり休めるようになったのは、思いがけないメリットでした。
8日目は、副作用と向き合いながらも「タバコを吸わない生活の実感」を初めて得られた一日でした。
9日目:禁煙の呼吸
禁煙2日目の朝、無性に吸いたい衝動が沸き上がりました。けれど実際に火をつけようという気持ちには至らず、グッと我慢。
唇を細めて細く長く深呼吸をすると喫煙衝動が収まってくる『禁煙の呼吸』をあみ出しました。この日は「吸いたい」という欲求が波のように押し寄せ、仕事中でも集中力を削がれそうになることがありました。
車の排気ガスの匂いでもおいしそうに錯覚し、欲求がくるたびに『禁煙の呼吸』で乗り切りました。
10日目:口寂しさとの戦い
10日目になると、体は少しずつタバコなしの生活に慣れてきました。
それでも、ふとした瞬間に「吸いたい」と思う気持ちがこみ上げます。特に食後や仕事の切れ目など、長年タバコとセットになっていたタイミングでは衝動がありました。
この日は、口の寂しさを紛らわせるために飴やミントタブレット、そして茎わかめを常備。小さな工夫ですが、意外と効果的で「何か口に入れておく」ことで衝動を回避する事が出来ました。
11日目:欲求の波が落ち着く
禁煙4日目にあたる11日目。
これまで強く押し寄せていた「吸いたい」という欲求は、波が少しずつ穏やかになってきました。
ふと頭にタバコがよぎることはあっても、持続時間は短く、深呼吸や口に何か入れる工夫で簡単にやり過ごせるレベルになってきました。
12日目:タバコを遠い存在に感じる
12日目には、タバコに対する印象がさらに変わりました。
街で喫煙者を見かけても「羨ましい」とは思わず、むしろ「自分もこんな煙を出していたのか」と冷静に客観視できるようになりました。
タバコの匂いを懐かしいと感じる瞬間もありましたが、美味しそうだとは思わなくなり、距離を置けている自分に気づきました。
13日目:生活リズムの変化
13日目になると、禁煙による生活リズムの変化をはっきりと実感しました。
これまで喫煙のために割いていた時間がなくなり、休憩時間を本当に休むことに使えるようになったのです。
また、経済的なメリットについても考えるようになりました。喫茶店代を含めると、1日あたり少なくとも1,000円近くをタバコに費やしていた計算になります。
単純に1カ月続ければ約3万円、1年で30万円を超える金額です。数字に置き換えてみると「いかに無駄をしていたか」が鮮明に見えてきました。
時間とお金、この二つが手元に残ることは、禁煙を継続するうえで大きなモチベーションとなりました。
14日目:喫煙衝動の消失と“卒煙”への意識
14日目を迎える頃には、喫煙の衝動は完全に消えていました。
これまで「タバコを吸うため」に行動を組み立てていた日常が変化し、今では「吸わないのが普通」という感覚が定着しつつあります。
今回の体験は本来推奨される84日間の服薬ではなく、あくまで2週間の使用にとどまっています。
それでも、この短期間で味覚の変化、副作用の実感、吸いたい気持ちとの葛藤を経て「タバコなしでもやっていけるかもしれない」という自信を得ることができました。
禁煙から卒煙へ。
この2週間の体験はあくまで私個人の感想にすぎませんが、禁煙補助薬のリアルな効き目を知りたい方や、個人輸入での禁煙を一つの選択肢として検討している方の参考になれば幸いです。
そして何より、この記事が「最後の禁煙体験記」となるよう、これからも日々頑張っていきたいと思います。
まとめ:2週間のスモスト体験を振り返って
今回、私は禁煙補助薬「スモスト」を個人輸入で入手し、2週間にわたって服薬・禁煙に挑戦しました。
本来は約12週間(84日)の継続服薬が推奨される薬ですが、この記事では“2週間でどんな変化が起こったのか”に焦点を当て、日々の実体験をお伝えしました。
感じた主な効果
- 服薬開始から数日で「タバコが不味く感じる」ようになった
- 吸っても満足感が減り、習慣的な喫煙に意味を見出せなくなった
- 1週間を過ぎる頃には「吸わないのが普通」に近づいてきた
副作用について
- 初期に胸のムカムカ感や頭がぼーっとする感覚を自覚
- 集中力の低下や気分の落ち込みなど、精神面への影響も少なからずあった
- 1mgに切り替えた直後に再び同じ副作用を感じたが、日数を重ねると軽減
生活面での変化
- 喫煙に費やしていた時間とお金が手元に残るようになった
- 休憩時間を本当に休めるようになり、生活リズムが改善された
今回の体験はあくまで個人の感想にすぎません。
スモストをはじめとする禁煙補助薬は、体調面だけでなく精神面にも副作用がある薬です。



スモストの副作用はさまざまなものがありますが、健忘や攻撃的行動といった日常生活や社会生活に影響を与えかねない副作用もあります。
そのため、精神面の副作用についても注意が必要です。
基本的には必ず医師の診断・指導のもとで使用されるべきものであり、個人輸入による使用は自己責任となります。
この2週間の記録が、禁煙補助薬のリアルな効き目や変化を知りたい方の参考になれば幸いです。
そして何より、この記事が「最後の禁煙体験記」になるよう、これからも“卒煙”を目指して歩んでいきたいと思います。
※海外医薬品の個人輸入は、ご自身の責任において、ご自身の使用のために行う場合に限り認められています。輸入した医薬品を第三者へ譲渡・転売することは法律で固く禁じられています。
※この記事は看護師資格保有者が内容を確認していますが、診断・治療行為ではありません。必要に応じて医療機関で適切な指導を受けてください。
スモストに関連する添付文書等の参考資料
- チャンピックス錠0.5㎎/錠1㎎ – PMDA(PDF)
- Chantix (varenicline) prescribing information. – FDA(PDF)
- Varenicline tartrate tablets: Drug information. – DailyMed
- Varenicline. In StatPearls. StatPearls Publishing. – NIH
※本ページでは日本語の公的資料(JAPIC/PMDA等)や、英語の公的資料(EMA/FDA等)を記載しています。いずれも基本的に各国規制当局等が発行する一次ソースですが、国・地域ごとに適応症・警告・禁忌・推奨用量などが異なるため、内容をよく比較のうえご判断ください。
※服用前には必ず輸入品に記載されている英文の説明も確認し、不明点は医師・薬剤師にご相談ください。
なつきさんによる他の禁煙補助薬の体験談
なつきさんより他の禁煙補助薬「バレニスマート」の体験談もレポートいただいておりますので、こちらもぜひご覧ください。

