子どものスクリーンタイムが1時間増えると21%近視発症リスクが高くなった研究

子どものスクリーンタイムが1時間増えると21%近視発症リスクが高くなった研究

スマホやタブレットを長時間使う子どもほど、近視のリスクが高まりやすい……そんな疑問に答える最新の総括研究(システマティックレビューと用量反応メタ分析)が発表されました。

研究結果によると、子どもの1日あたりのスクリーンタイムが1時間増えるごとに、近視の発症リスクが上昇することが示されています。近視は学習や生活の質に影響するだけでなく、将来的に強度近視や眼疾患につながる可能性も指摘されています。

とはいえ、「すぐに画面を見ないようにする」のは現実的ではありません。まずは寝る前の1時間だけ画面をオフにする、あるいは屋外で過ごす時間を意識して増やすといった小さな工夫から始めることが、子どもの目を守る第一歩になりそうです。

本研究の要点は以下の通りです。

子どもの近視とスクリーンタイムの研究まとめ
何が分かったか
  • 45件の研究を合わせた解析で、1時間増えるごとに近視発症のオッズ比が21%増加
  • リスクの上がり方はなめらかな曲線で、短時間なら上がりにくい可能性
  • 主に子どもから思春期の年代のデータが中心
やり方のコツ
  • 就寝前1時間は画面オフ
  • 宿題中も20分ごとに外を見る
  • 休日は屋外時間を先に確保する
注意しておきたいこと
  • 関連性は示しているが、原因は断定していない
  • 個人差が大きく、明るさや距離など環境でも変わる
  • 「完全にやめる」より現実的に減らす発想が大事

なお、本記事の内容については、表現に不自然な点がないか、医学雑誌の編集にも携わっていた編集の専門家が確認済みです。

この記事を確認した編集者
Touma

編集プロダクションでの勤務経験があり、医療系出版社の月刊誌にて校正、校閲業務実績がございます。

目次

研究の概要

研究チームは、世界各国で行われた45件の研究(計33万人以上のデータ) を集め、スクリーンタイムと近視の発症リスクの関係を分析しました。

特徴的なのは、「どのくらいスクリーンタイムが増えると、近視リスクがどの程度上がるのか」 を数式で描き出す用量反応メタ解析(DRMA:dose-response meta-analysis)を用いた点です。

いつ2025年公開(JAMA Network Open)
誰がHaらの国際チーム
対象平均年齢が約9歳の子どもから思春期の年代の参加者(観察研究)
何をしたか1日のスクリーン時間と近視の有無を統合解析。量用反応メタ解析を推定
結果・1時間ごとに近視のオッズ比が+21%
・曲線はなだらかなS字に近く、1時間未満では緩やか、1〜4時間で急上昇、4時間超で再び緩やかになった

どうしてスクリーンタイムが長いと目に悪いのか

スマホやタブレットの画面を長く見ていると、まばたきの回数が減って目が乾きやすくなることが分かっています。また、近くのものを見続ける「近業」が長時間続くと、ピントを合わせる毛様体筋が疲れてこりやすくなり、目の負担が増します

さらに、画面に向かう時間が長いと、屋外で過ごす時間が減り、遠くを見る機会や自然光にさらされる時間も少なくなることが問題です。

屋外では光が強く網膜が刺激されるほか、遠くを見ることで目のピント調整がリセットされ、目の成長のバランスを保つ効果が期待できます。スクリーンタイムの増加は単に目の疲れだけでなく、近視のリスクや目の発達にも影響を及ぼす可能性があると考えられています。

家でできるルールづくり

完璧を目指す必要はありません。

まずは、夜の時間を家族みんなで1時間オフにする習慣を取り入れてみましょう。スマホやタブレットはリビングで充電するようにすると、自然と就寝前の使用を控えやすくなります

また、勉強中には20分ごとに20秒だけ遠くを見る決めごとを作っておくと、目の筋肉を休めながら習慣化しやすくなります。休日には、外遊びの時間を先に確保してからゲームや動画の時間を割り振ると、結果的にトータルのスクリーンタイムを減らすことができます。

こうした小さな工夫を積み重ねるだけでも、子どもの目を守る意識を自然に育てることにつながります。

学校・塾との両立のコツ

オンライン課題を行う際は、文字サイズを少し大きめに設定し、画面と顔の距離は少なくとも40cm以上を目安にすると目への負担を和らげやすくなります

タブレットは斜めに立てて使用すると、自然に目と画面の距離を保ちやすくなり、近くを長時間見続けることによる疲れを軽減できます。また、夜間のスマホやタブレットの通知は翌朝にまとめて受け取るよう設定すると、寝る前の画面刺激を減らすことができ、睡眠の質を守ることにもつながります。

ちょっとした工夫でも、研究で示されたスクリーンタイムと近視リスクの関連を踏まえることで、目の健康を守る第一歩になります。

近視とスクリーンタイムの研究に関するよくある質問

 1時間未満なら安心ですか?

解析の結果、スクリーン時間が短い場合にはリスクの上昇は緩やかであることが示されました。しかし、1時間未満なら完全に安全であると断言できるわけではありません

近視のリスクは個人差や使用環境(画面との距離や明るさ、屋外で過ごす時間など)によっても変わるため、短時間であってもこまめに休憩をとり、画面との距離を意識することが大切です。

ブルーライトカット眼鏡は必要ですか?

ブルーライトカット眼鏡は、近視予防の決定的な効果を示す十分な科学的証拠はまだありません

現時点では、画面を見すぎる時間を減らすことや、屋外で遊ぶ時間を増やすこと、そして画面との距離を適切に保つことの方が、子どもの目を守る上でより確実な対策と考えられています。

大人にも当てはまりますか?

この解析は主に子どもや思春期のデータに基づいているため、大人の近視リスクについて直接的な結論は出ていません

しかし、大人でも長時間の画面使用は目の疲れや睡眠の質に影響を与えることが知られており、就寝前の1時間を画面オフにする習慣は、眼精疲労の軽減や睡眠改善に役立つ可能性があります。

子どもと同様に、スクリーンタイムを減らす工夫を取り入れることが、大人の目の健康を守る上でも有効と言えるでしょう。

まとめ

最新の総括研究で、子どもの1日あたりのスクリーンタイムが1時間増えるごとに近視になるリスクが約21%高まることが示されました。

注目すべきは、リスク上昇の様子がなだらかなS字型を描いており、1時間未満の使用では比較的リスクは低めですが、1~4時間の間で急激に上昇し、その後は上昇ペースが緩やかになるというパターンです。

研究結果を踏まえ、日常の中で取り入れやすい工夫として寝る前1時間の画面オフ、宿題や仕事の合間に意識的に遠くを見る休憩、そして休日にはまず屋外で過ごす時間を優先的に組み込むなど、できることから少しずつ始めるのがおすすめです。

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本記事の監修者・執筆者

メドノア編集部が監修・執筆。
記事により薬剤師による執筆、また、適宜、医療系国家資格を有する専門家(看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当)が、医学的記述や表現に不自然な点がないか確認をしています。
確認済みの記事には、その旨記載しております。

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