南米アンデス高原原産の植物「マカ」。その根は古くから「インカの秘薬」として珍重され、現代でも注目を集めるスーパーフードです。特に男性の健康や活力に良い影響を与えるとされ、多くの方がサプリメントとして摂取しています。
この記事では、マカの概要をはじめ、含まれる主な成分や男性にもたらす効果、副作用や注意点などについて詳しく解説します。マカに興味がある方やどのような効果が期待できるか知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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総合病院での院内薬剤師として勤務。主に救急や外科系の患者を担当しておりました。現在はその経験を活かして、医療系記事の執筆を担当しております。
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看護師資格を有し、総合病院で勤務。退職後、出版社に勤務し、医学誌の編集も担当しておりました。
マカとは?


マカは、南米ペルーのアンデス山脈高地原産の根菜植物で、数千年前から食用や薬用として利用されてきました。その栄養価の高さから「アンデスの奇跡」とも呼ばれ、近年では世界中で注目を集めるスーパーフードの一つです。
マカの特徴は、豊富な栄養素を含んでいることです。アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維などがバランスよく含まれており、特にアルギニンという必須アミノ酸が豊富です。
男性にとってマカが注目される理由の一つは、精力増強効果です。マカには性機能を向上させる可能性があり、性欲の改善や勃起機能の向上に寄与すると考えられています。マカの摂取方法はさまざまで、粉末やカプセル、錠剤などのサプリメント形態が一般的です。
また、生のマカを乾燥させて粉末にしたものを料理に加えて摂取もできます。
マカに含まれる主な成分


マカには豊富な栄養素・成分が含まれており、多くの効果をもたらします。ここでは、その中でも特に重要な成分を紹介します。
アミノ酸(アルギニン)
マカには、男性の健康に特に重要なアミノ酸であるアルギニンが豊富に含まれています。アルギニンは、男性の精力増強や性機能改善に深く関わる成分です。アルギニンには、体内で一酸化窒素の生成を促進し、血管を拡張させる働きがあり、性欲の向上やED(勃起不全)の改善に役立つと考えられています。
さらに、アルギニンには精子の形成をサポートする作用もあり、男性不妊症の改善にも期待が寄せられています。アルギニンは、他の栄養素と相まってエネルギー代謝を活性化させるため、活力アップを図ることも可能です。マカを日々の生活に取り入れることで、男性特有の悩みや健康維持に役立てられるでしょう。
ビタミン・ミネラル
マカは、男性の健康に欠かせないさまざまなビタミンやミネラルを豊富に含んでいます。特に注目すべきは、ビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、鉄分、亜鉛などです。
ビタミンB群は、エネルギー代謝を促進し、疲労回復を助けます。特にB6は、テストステロンの生成をサポートし、男性ホルモンのバランスを整えるのに役立ちます。ビタミンCは強力な抗酸化作用を持ち、ストレスや環境からの酸化ダメージから体を守ることが特徴です。
ミネラル面では、カルシウムと鉄分が豊富に含まれており、骨の健康維持や貧血予防に効果的とされています。特に注目すべきは亜鉛で、精子の生成や性機能の維持に不可欠な栄養素です。亜鉛は前立腺の健康にも重要な役割を果たすため、加齢とともに気になる男性特有の悩みにも対応できる可能性があります。
グルコシノレート類
マカに含まれる主な成分の中でも、グルコシノレート類は特に注目される成分です。グルコシノレートは、アブラナ科の植物に多く含まれる含硫化合物で、マカにも豊富に含まれています。この成分は、マカの持つさまざまな効果の源となっており、特に男性の健康に良い影響を与えると考えられています。
グルコシノレート類は、体内で代謝されると抗酸化作用や抗炎症作用を持つ物質に変化することが特徴です。これらの作用は、細胞の酸化ストレスを軽減し、体全体の健康維持に貢献します。特に男性の場合、この抗酸化作用が精子の質や量の改善に関与する可能性があるため、男性不妊症で悩んでいる方にとっても有用です。
マカが男性にもたらす5つの効果


マカは精力増強のイメージが強いですが、他にも男性にとって有用な効果が多くあります。ここでは、マカが男性にもたらす効果を5つ紹介します。
性欲の向上
マカは、古くから性欲や性的機能を高めるために用いられてきたスーパーフードです。特に、男性の性欲向上においてその効果が注目されています。
ペルーで行われた研究では、健康な成人男性が8週間から12週間マカを摂取した結果、性欲が顕著に改善されたことが報告されています。この効果の背景には、マカに含まれるアルギニンやカラシ油配糖体といった成分が関与している可能性が高いです。



カラシ油配糖体はグルコシノレートのことです。
アルギニンは血流を促進し、精子形成をサポートする働きがあり、カラシ油配糖体は勃起機能を改善する作用を持つとされています。また、マカはストレスやホルモンバランスの乱れによる性欲低下にも効果的で、体質改善を通じて自然な形で性欲を高めることが期待できます。
精子の活発化
マカは、男性の生殖機能に多大な影響を与える栄養豊富な植物として知られています。特に注目すべきは、マカの摂取が精子の活性化に寄与する点です。研究によると、マカを継続的に摂取することで、精子の量や質が向上する可能性が示されています。
健康な成人男性を対象とした実験では、4ヶ月間のマカ摂取により、精液量や精子数、運動性精子数の増加が確認されました。
マカには精子を活性化させる他の栄養素も含まれており、これらが総合的に作用して精子の質を高めると推測されています。
ただし、効果の現れ方には個人差があります。また過剰摂取は逆効果になる可能性もあるため、適切な摂取量を守ることが重要です。
スタミナアップ
マカは、古くからスタミナ源として重宝されてきた南米原産の根菜です。その効果は現代の科学的研究によっても裏付けられており、特に男性のスタミナアップに大きな期待が寄せられています。マカに含まれる豊富な栄養素が、身体的なスタミナとエネルギーレベルの向上に寄与します。
特に、マカに含まれるアミノ酸やビタミン、ミネラルは、エネルギー代謝を促進するため、活力を引き出すのに有用です。実際に、ペルーで実施された試験では、健康な成人男性が12週間マカを摂取したところ、性欲が改善されました。これは、マカがスタミナアップに寄与する証拠の一つといえるでしょう。
さらに、マカには疲労回復効果も期待できます。マカを常用している方の中には、摂取後すぐに目覚めが良くなり、活力が湧いてくると感じた方も少なくありません。
動脈硬化の予防
マカは、動脈硬化の予防に寄与することで知られています。動脈硬化とは、血管の内壁に脂肪やコレステロールが蓄積され、血流が妨げられる状態を指します。この状態が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞といった深刻な健康問題を引き起こすリスクがあるため、日頃からの予防が重要です。
マカには、リノレン酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれており、血圧を下げたり、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少させたりする効果があります。
さらに、マカには強力な抗酸化作用があり、体内の活性酸素を減少させることで、血管の損傷や老化を防ぐ役割も果たします。現代人はストレスや不規則な生活習慣により活性酸素が増加しやすく、その影響で動脈硬化が進行することがありますが、マカを摂取することでこのリスクを軽減させることが可能です。



不飽和脂肪酸のうち、n-6系脂肪酸に分類されるリノレン酸は体内で合成することができません。そのため、食物から摂取する必要があります。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」では、摂取の目安量が設定されています。
摂取のしすぎも悪影響を及ぼします。目安量を確認して上手に取り入れていくとよいでしょう。
精神状態の改善
マカは、男性の精神状態を改善する効果が期待されています。特に、ストレスや不安感を軽減する可能性があります。
研究では、マカを摂取した被験者は気分の向上を報告しており、エネルギーや活力が増すと感じたという方が多いです。これは、マカに含まれる成分が脳内の神経伝達物質に影響を与え、ポジティブな感情を引き出すからだと考えられています。
さらに、マカはビタミンB群を豊富に含んでおり、これが神経系の健康をサポートします。ビタミンB群はエネルギー代謝にも関与しており、疲労感を軽減し、集中力を高める効果があるため、精神的なパフォーマンスの向上も可能です。
また、マカにはアダプトゲン的な特性があり、身体がストレスに適応する能力を高めることが示唆されています。日常生活でのストレス耐性が向上し、心の安定にもつながるはずです。
マカの副作用


一般的に、マカは適切な量であれば重大な副作用は少ないとされていますが、特定の条件下ではリスクが高まることがあります。妊娠中や授乳中の女性、小児に対しては安全性が確認されていないため、マカの摂取は控えるべきです。
さらに、肝臓や腎臓に疾患を持つ方も注意が必要で、過剰摂取によって肝機能や腎機能に悪影響を及ぼす可能性があります。マカを大量に摂取すると下痢や不眠といった症状が現れることもあるため、注意が必要です。
また、マカはアブラナ科に属するため、ブロッコリーやキャベツなどのアレルギーを持つ方はアレルギー反応を示すことがあります。特に甲状腺疾患を抱える方は、マカに含まれるゴイトロゲンが甲状腺機能に影響を与える可能性があるため、摂取を避けるべきです。
マカの正しい摂取方法


マカを過剰摂取すると、さまざまな健康リスクにつながる可能性があるため、注意が必要です。ここでは、マカの正しい摂取方法を紹介します。
理想的な摂取量
マカを効果的に摂取するためには、適切な摂取量を守ることが重要です。一般的に、マカの1日の推奨摂取量は1.5g~3.5gとされています。特に、健康を維持したい方や性機能の改善を目指す男性には、この範囲内での摂取が推奨されます。過剰摂取はホルモンバランスを乱す可能性があるため、注意が必要です。
また、マカの効果を実感するためには、継続的な摂取が求められます。研究によれば、性欲や勃起機能の改善には6週間から12週間の継続的な摂取が必要とされています。短期間で効果を期待するのではなく、長期的な視点で摂取することが大切です。
マカは、自分のライフスタイルに合った形で取り入れることができるため、忙しい日常の中でも手軽に摂取できます。
摂取タイミング
マカを効果的に摂取するためには、摂取タイミングが重要です。
基本的に、マカは食後の摂取が推奨されています。食後は胃腸の働きが活発になり、マカに含まれる栄養素を効率的に吸収できるためです。特に、朝食と夕食の後に摂取することで、日中のエネルギー補給や夜間の成長ホルモンの分泌をサポートできます。
また、成長ホルモンは夜10時~2時にかけて分泌が活発になるため、この時間帯に就寝するよう心がけ、就寝前にマカを摂取すると効果的です。このタイミングでの摂取は、身体が自然にリカバリーを行う際に、マカの成分がより効果を発揮する可能性があります。ただし、即効性は期待できないため、継続的な摂取が重要です。
マカの効果を最大限引き出す方法


マカ単体でもさまざまな効果が期待できますが、同時に生活習慣を見直すとさらに効果を引き出せます。ここでは、マカの効果を最大限引き出す方法を紹介します。
定期的な運動
定期的な運動は、マカの効果を最大限に引き出すために非常に重要です。運動を行うことで、男性ホルモンの分泌が促進され、マカが持つ性機能改善効果や精力向上効果がより顕著に現れます。
特に、筋力トレーニングや有酸素運動は、血流を改善し、マカの成分が体内で効率的に作用する環境を整えます。
例えば、週に数回のジム通いや、自宅でのトレーニングは、マカを摂取する際の相乗効果を生みやすくするため、おすすめです。また、運動はストレスを軽減する効果もあり、ストレスが男性ホルモンの分泌を抑制することから、心身の健康維持にも寄与します。
さらに、運動後には成長ホルモンが活発に分泌されるため、このタイミングでマカを摂取すれば効果を高められます。



成長ホルモンとは、脳下垂体という器官から分泌されるホルモンのひとつです。骨や筋肉の成長や疲労回復を促す働きがあり、分泌が低下すると疲れやすくなったり体力が低下したりします。
これを防ぐためにも、普段から定期的に運動しておくとよいでしょう。
バランスの取れた食事
マカの効果を最大限に引き出すためには、バランスの取れた食事が不可欠です。マカは栄養豊富なスーパーフードとして知られていますが、その効果を実感するためには、他の栄養素との組み合わせが重要です。
特に、マカに含まれるアミノ酸やビタミン、ミネラルは、体内での吸収や利用を促進するために、適切な食事と一緒に摂取することが推奨されます。
例えば、マカを摂取する際には、たんぱく質や健康的な脂肪を含む食品と組み合わせることで、エネルギー代謝が向上し、その効果がより強化されます。また、マカはホルモンバランスを整える作用があるため、特に男性の性機能や精力向上を目指す場合は、亜鉛やビタミンB群などの栄養素も意識して摂取することが重要です。
マカを摂取するときの注意点


最後に、マカを摂取するときの注意点を紹介します。
マカはあくまでサプリメント
マカは、滋養強壮や性欲増進に効果があるとされていますが、あくまでサプリメントの一種です。マカに含まれる成分が体内でのホルモンバランスを整えることで、男性の性機能に良い影響を与える可能性があります。しかし、マカ自体が直接的に勃起を促進するわけではありません。
摂取することで性機能が改善される可能性がありますが、その効果には個人差があり、すぐに結果が出るわけではない点に注意が必要です。
また、マカは医薬品とは異なり、効果が現れるまでには一定の期間がかかることがあります。一般的には、数週間から数ヶ月の継続的な摂取が推奨されており、その間に体調や気分の変化を観察することが重要です。より強力な効果を求める場合は、ED治療薬を検討してみるのも良いかもしれません。
他の薬と併用するときは医師に相談する
マカは健康食品として多くの効果が期待される一方で、他の薬との併用には注意が必要です。特に、処方薬を服用している方は、マカの摂取をはじめる前に必ず医師または薬剤師に相談することが推奨されます。これは、マカが持つ成分が、特定の薬剤と相互作用を起こす可能性があるためです。
例えば、抗凝固薬や降圧剤などと一緒に摂取すると、薬の効果が強まったり、逆に減弱することがあります。特にワーファリンなどの血液凝固防止剤を服用している場合は、ビタミンKを多く含む食品やサプリメントは避けるべきです。
また、マカにはホルモンバランスに影響を与える可能性があるため、ホルモン治療中の方や甲状腺疾患をお持ちの方も慎重になる必要があります。マカは、アブラナ科の植物であるため、同じアブラナ科の食品にアレルギー反応を示す方も注意が必要です。



抗凝固薬や降圧剤以外にも、狭心症の治療薬や抗うつ薬、抗不安薬を服用している方は、マカとの相互作用によって薬の効果が変化する可能性があります。
まとめ
マカは、性欲向上やスタミナアップ、動脈硬化の予防など、男性にとって多くのプラス効果をもたらします。医薬品ではなく、サプリメントであるため、生活に取り入れるハードルが低く、気軽に摂取できるのがマカの魅力といえるでしょう。
ただし、マカは過剰摂取したり他の医薬品と併用したりすると思わぬ副作用や健康リスクを引き起こす可能性があるため、自分の健康状態をしっかり把握してから正しく摂取することが大切です。通販でも購入可能なため、手軽に入手したい方や誰にも知られずに購入したいと考えている方は、選択肢の一つとしてご検討ください。